「農民」記事データベース20091207-904-02

政府備蓄米16万トン買い入れへ

ようやく農民連の要求受け入れ

関連/県内の自治体・農協訪れ懇談 食料自給率向上署名を訴え


“遅きに失した”“不十分だ”の声

 政権交代後、初の食料・農業・農村政策審議会食糧部会が11月26日に開かれ、農水省は2009年度の政府備蓄米を16万トン買い入れると表明。農民連の要求がようやく実りました。

 米価暴落で、農家が苦境に立たされるなか、農民連は「政府備蓄米を一刻も早く買い入れよ」と再三にわたって要求し、19日には山田正彦副大臣に直接申し入れていました。

 買入時期は12月で、全国一律の予定価格を決めて入札を実施し、応札価格の低いものから順に買い入れる制度に見直します。現在の政府備蓄米は約84万トンであり、政府が決めた適正備蓄水準の100万トンまで買い入れることになります。しかし、新米価格が下落しているもとでは、“遅きに失した”かっこうで、米業者は「どこまで需給が引き締まるか疑問だ」と指摘しています。

 部会のなかでは、全国米穀販売事業共済協同組合の木村良理事長から「米価下落は、(政府が買い入れをしないことによる)民間在庫の過剰が直接の原因だ」との批判が出されたほか、別の委員からは、「安いものから順に買い入れると、(買いたたきを許すことになり)米価下落に拍車がかかるのでは」との懸念の声が出されました。

 農水省はこの期に及んで、「需給に影響を与えない買い入れ」にこだわっています。

 農民連は「備蓄米のうち、2005年産などの超古米19万トンは飼料用に回し、豊作過剰分を変則的に買い入れた2008年産10万トンを本来の用途である米粉に充てるなどして、合計45万トン程度の買い入れを実施し、米の需給と価格の安定をはかるべきだ」と求めています。


県内の自治体・農協訪れ懇談
食料自給率向上署名を訴え

「戸別所得補償」 期待と不安の声

 新潟食健連グリーンウエーブ

 新潟食健連(にいがた食と農と健康、教育のネットワーク)は11月12、13の両日、県内の自治体と農協を訪問し、食料自給率向上を求める署名と、政府への要請に対する賛同書に取り組んでもらえるよう要請・懇談しました。22人が9コースに分かれて回りましたが、政権が交代した中で、どの自治体や農協でも戸別所得補償をはじめとした新たな政策への期待と不安の声が聞かれました。

 戸別所得補償では、大豆転作で団地化を進めてきた上越市や三条市、その管内の農協から、「これまでの“産地づくり交付金”にくらべて助成金が減ることになる。下回らないよう要請していきたい」という話や、ほかの訪問先では「米粉への助成額は相当だが、需要まで考えた出口対策もしっかりやってほしい」との意見も聞かれました。また、要請に訪問した参加者に対して、「民主党政権をどう思うか」との質問や「署名を政府へ提出した結果などもきちんと連絡してほしい」という要望も出されました。

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賛同署名を県連の鶴巻純一さんに託す加茂市の小池清彦市長(右)

 キャラバンに参加した人からは「これまで自民党支持だった農協も対応が変わってきている。要求面では農民連と一致する部分が多くなったようだ」との感想が出ていました。

 11月24日現在、13の自治体と15の農協から賛同署名が、また自治体や農協の職員などから716人の個人署名が寄せられています。

(新潟県農民連 鈴木亮)
(新聞「農民」2009.12.7付)
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2009年12月

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