ビア・カンペシーナいまこそ食糧主権の実践を―首脳集まらぬ「世界食糧サミット」
世界食糧サミットが11月16日から18日まで、ローマで開かれました。シンガポールで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議などとも関連して、G8サミット各国はどこも首脳を送らず、サミット(頂上会議)とは名ばかりの会合となりました。 ビア・カンペシーナは、主催者であるFAO(国連食糧農業機関)のディウフ事務総長あてに責任追及の公開文書を送るとともに、「話し合いの時は終わった。いまこそ食糧主権の実践を」と呼びかけ、11月13日から18日まで、25カ国以上の参加で「食糧主権に関するFAO食糧サミットと市民組織フォーラム」を開催。そのなかで、当面する食糧危機を克服するには、多国籍企業でなく小規模農民が自分たちの地域における食糧を持続可能な方法で生産することを各国政府が支援すべきだ、という主張を確認しています。 世界の栄養不足人口が10億人を超えたというFAO発表(884号既報)は、国際世論に大きなインパクトを与えています。なかでも、世界食糧サミット(1996年)や国連のミレニアム開発戦略(2000年)で確認されてきた「飢餓人口の半減」という人類共通の願いが、実現に向けて前進するどころか、逆に大幅に後退している事態に、どう歯止めをかけることができるのか注目されています。 こうしたなかで11月末からスイス・ジュネーブでWTO(世界貿易機関)閣僚会議が開催されますが、世界人口の6人に1人が飢餓状況という現実の中で、農産物貿易の拡大について論議しあう非常識な会合になりそうです。 今年3月の国連人権理事会で、ドシュッテル氏が基本的人権としての食糧に対する権利とWTO協定の関係について勧告し、次のような趣旨の重要な内容の提言を行っており、注目されます。 「食糧の安全保障で国際貿易への過度な依存を制限し、貿易交渉における政府の姿勢を、食糧に対する権利を尊重する国家戦略と整合性をもたせること。WTOのもとでの合意が食糧に対する権利を侵していないか調査し、権利尊重義務に一致しないいかなる合意も受諾しないこと。国際食糧市場における流通・加工・販売業者の活動に基準を設け、必要な規制を実施する方向に前進すること」
(新聞「農民」2009.11.30付)
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[2009年11月]
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