「農民」記事データベース20091130-903-01

一致できるものは協力
改善すべき点はただす

農民連 食健連 山田農水副大臣に要請

関連/国産米1粒も買い入れず MA米26万トン余も輸入とは…


戸別所得補償制度 現場の声聞き
水準引き上げ、品目限定するな

 農民連と国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)は11月19日、国会内で民主党の山田正彦・農林水産副大臣に対して、食糧と農業政策について要請し、懇談しました。

 冒頭、全国食健連の坂口正明事務局長が「一致できるところは協力し、改善すべき点はただしていく」との立場を表明。

 農民連の白石淳一会長は、政府が導入を検討している戸別所得補償制度について、「中身がはっきりしない。早急に示すべきだ。十分な財源を確保して、食料自給率の向上に役立つものにしてほしい」と述べ、備蓄米についても、政府の方針通り100万トンまでの買い入れを早急に実施するよう要求しました。

 水田を活用して麦・大豆・米粉用米・飼料用米などの生産を行う農家に対して支払う水田利活用自給力向上事業について、山田副大臣から「どう考えますか」と見解を問われた白石会長は「補償水準をもっと引き上げ、品目を限定しないでほしい。現場の声をもっと聞くべきだ。飼料用米の取り組み推進の提起についてはまったく同感。私たちも協力したい」と応じました。

 米の100万トン買い入れについて、農民連ふるさとネットワークの横山昭三事務局次長が「市場価格の下落が激しく、値下げ競争が始まっている。一刻も早く買い上げを実施してほしい」と求めたのにたいして、山田副大臣は「どういう買い方をするかを詰めているところ。早めに考えなければならない」と答えました。

 さらにアメリカが、日本への牛肉の輸出条件を20カ月齢以下から30カ月齢以下に引き上げようとしていることに対して、山田副大臣は「輸入されれば、国内の畜産農家はさらに厳しい状況になる。そうならないようにしたい」と表明しました。

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山田副大臣(中央)に要請する白石会長(左)

 参加者は「ミニマムアクセス米のうち、少なくとも行き先がなく、在庫として積み上がることが想定されるものについては、輸入を見直してほしい。日本の農業に重大な影響をもたらす、これ以上の自由化はやめよ」と求めました。


政 府

国産米1粒も買い入れず
MA米26万トン余も輸入とは…

画像 政府は、この春以来の「ルールどおり備蓄米を買い上げよ」という国民、農民の声に耳を貸さず、米価暴落になんら対策を講じてきませんでした。このため2009年産は作況「98」の不良にもかかわらず、先行きの不透明さから米業者は買い控えに入り、市場に米がだぶつき米価はさらに暴落しています。

 政府は100万トン備蓄に不足している15万トンを至急買い入れるとともに、備蓄米のうち、2005年産などの超古米20万トンは飼料用に回し、豊作過剰分を変則的に買い入れた2008年産10万トンを本来の用途である米粉に充てるなどして、合計30万トン程度の追加的買い入れを検討し、米の需給と価格の安定をはかるべきです。

 ところが、民主党中心の政権に交代しても、いぜんとして国産米は1粒も買い入れしない一方、9月以降、アメリカや中国、タイなどからミニマムアクセス米を26万5000トンも買い入れています。そして、対策として出てくるのは戸別所得補償制度の話ばかり。米農家が当面、最も切実に要求している米価暴落対策にはなんら手を打とうとしていません。

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 しかも、MA米には膨大な予算が投じられています。まず買い入れ価格が平均トンあたり7万円。保管料が年間トンあたり1万円で数年にわたって保管。さらに、昨年の汚染米事件をきっかけに始まったカビ汚染の目視検査などにトン当たり1万円、カビがみつかると焼却処分ににトン当たり1万円…。これまでに900トン余りを処分したと言いますから、それだけで約1億円を「ドブに捨てたも同然」という状況です。

 鳩山政権は「『聖域なき』事業の仕分け」と称して農道整備事業など多くの事業を「廃止・見直し」と決めていますが、MA米にかかわる経費こそ「仕分け」の対象に加え、MA米を中止するなど見直すべきではないでしょうか。

(新聞「農民」2009.11.30付)
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2009年11月

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