“力を合わせ農と米守ろう”
熊本 玉名農民組合と地域自治体研
「コメが危ない」シンポ開く
熊本県農民連・玉名農民組合とNPOくまもと地域自治体研究所は11月7日、植木町役場近くの「ばあちゃんち」で、“コメが危ない”シンポジウムを開催。参加者は30人でしたが、非常に刺激的で内容の豊かなものになりました。
シンポジウムでは、コーディネーターを熊本県立大学の中島煕八郎教授がつとめ、パネリストは、農家の主婦の田中まつ子さん、熊本市の主婦の足立真理子さん、熊本県米穀小売振興組合理事長の藤木孝一さんの3人。
はじめに、中島さんが「日本は、米が余って減反しているのに、年間80万トン近くも外国から輸入しているという変わった国。農家の時給は179円という安さで、“もう米は作らない”と言う農家が増えている。生産者、消費者、そして米穀業者がそれぞれの立場から率直に意見を出し合って考えよう」とあいさつ。
これを受けて、生産者の田中さんは「いま、多くの農家は米作りをやめてハウス園芸に転換しているが、これもまた大変。肥料も農薬も高くて採算がとれない。コンバインを250万円で買ったが、とても元は取れない。1俵1万5000円以上なら、みんな米を作るようになる。荒れた休耕地を元に戻すために、消費者と生産者が力を合わせて政府を動かしていくべきです」。消費者の足立さんは「ご飯大好き家族。消費者として農家のことを考えると、安ければよいとばかりは言えない。農地が荒れていくのを見るのは寂しいし、悲しくなる」。また、米穀小売業者の藤木さんは「農家も米屋ももうからない。あと3年もすれば米屋もみんなやめてしまうだろう。規制緩和は何もかもダメにした。しかし、農業には生産の喜びがある。これは何にも代え難いもの。米に感謝の気持ちがわいてくるようにしなければならない」とそれぞれ報告しました。
最後に、中島さんは「世界的な食糧不足が心配されるなか、米は世界で最も優秀な作物。水田があって初めて日本の農業は成り立つ。米と日本の農業を守っていくために、生産者と消費者が手を取り合っていこう」と呼びかけました。
町役場の協力で「ばあちゃんち」の庭に、稲刈り後の田んぼを背にテントを張った会場には、特安米「奥様の味方」(5キロ1360円)や米穀店から寄付された新潟のコシヒカリ、植木町田原坂の掛け干ししたヒノヒカリの新米などが並べられ、ペットボトル1本の水と米の値段の比較、市販のにぎりめし1個の値段で買えるパンなども展示。その横では、山東保育園の園長さんらが米煎餅(せんべい)を焼き、威勢良く爆発させてポン菓子をつくってくれました。
(NPO法人くまもと地域自治体研究所 戸田 敏)
(新聞「農民」2009.11.23付)
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