「農民」記事データベース20091123-902-05

飼料用米 利活用 シンポ
継続に助成金充実が重要


先進的な取り組み報告

画像 農水省関東農政局と社団法人日本草地畜産種子協会が主催して、11月4日、さいたま市で飼料用米利活用シンポジウムが開かれました。シンポジウムでは、「飼料用米による地域農業振興の可能性」をテーマに、前半は飼料用米に取り組む生協、養鶏生産者、養豚・食肉加工業などから先進事例が報告され、後半では東京農業大学の信岡誠治准教授をコーディネーターにしてパネルディスカッションが行われました。

 基調報告に立った生活クラブ生協の加藤好一会長は、生活クラブ生協と山形県遊佐町、平田牧場(養豚・食肉業)、JA庄内みどりなどで飼料用米プロジェクトの体制を作り、飼料用米を10%給餌(じ)した豚肉を供給している取り組みを報告しました。

 加藤会長は、「反収を向上して生産コストを下げることが重要だが、現在の面積あたりの助成体系では農家の生産意欲に結びつかず、本当は収量払いの助成制度がのぞましい。飼料用米の取り組みを継続していくには、生産者が収入を確保できなければならない」と強調。「2008年は10アール当たり6万9100円だった農家の収入(販売代金と助成金を含む)を、09年は8万円を確保。しかしこれでも不十分だった」と述べ、「水田有効活用助成金などの支援が欠かせない」と、飼料用米を国の長期政策として位置づけ、しっかりした財源を確保するよう求めました。

 青森県藤崎町の常盤村養鶏農協の石澤直士組合長は、養鶏と水田や畑、りんご栽培などを組み合わせた資源循環型農業を発展させ、輸入トウモロコシから飼料米に転換している取り組みを報告しました。石澤さんは「飼料米に取り組むことで、地域の農家が元気になるのがうれしい。やはり農家からすると反収10万円はどうしても必要だ」と率直に語りました。

 コーディネーターを務めた信岡さんは、モミロマン、タカナリなどの超多収飼料米の品種を紹介し、「今最も求められているのは、飼料米を“まったく新しい穀物が生まれた”と、頭を切り替えることだ。従来とはまったく違う技術体系や、基盤整備をしていく必要がある」と指摘しました。

 会場の外では、パネル展示や飼料米を与えられた豚や鶏のソーセージ、ゆで卵などの試食が行われました。

(新聞「農民」2009.11.23付)
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2009年11月

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