本の紹介
杉浦俊彦 著
温暖化が進むと「農業」「食料」はどうなるのか?
変わり始めた農業の現場と克服
への取り組みをわかりやすく
「温暖化が進むと“農業”“食料”はどうなるのか?」という、地球温暖化の農業への影響を、一般の読者に向けてわかりやすく紹介した解説書が出版されました。著者は、農水省の果樹試験場で気象と作物の生育の関係を長年にわたって研究し、2005年の温暖化の全国実態調査ではその結果を取りまとめた、このテーマでは第一線の研究者です。
最新のグラフや写真が豊富に盛りこまれ、内容も項目ごとによく整理された短い文章で、温暖化の知識がまったくなくてもわかりやすい構成になっています。
第1、2章では、日本の低すぎる食料自給率の危険性にも言及しながら、温暖化が世界の食糧生産や農業全体にどう影響するのかを解説しています。
そして第3、4章では、日本でも明らかになりつつある温暖化の影響や、将来の日本農業への予測を、水稲、果樹、畑作物、畜産の作物ごとに解説し、第5章では、温暖化の克服に向けた取り組み技術を作目ごとに具体的に紹介しています。
高温障害による水稲の白未熟粒の発生や、果樹の色づき不良など、温暖化はすでに日本でも顕在化していますが、今後、これらの温暖化の影響は、温暖化の進行とともに確実に深刻化していくといわれています。難しいと思うところは読み飛ばし、自分のつくっている作目だけでも読む価値のある、必読の書となることでしょう。
▲定価 1980円+税
▲技術評論社 TEL 03(3513)6150
(新聞「農民」2009.11.16付)
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