八ツ場(やんば)ダム問題
学習会に参加して
埼玉農民連会長 立石 昌義さん
現地住民に寄り添った解決こそ
10月10日に前橋市で開かれた八ッ場ダム学習会(日本共産党群馬県委員会主催)に参加した埼玉農民連の立石昌義会長から、感想が寄せられました。
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私の住む埼玉県上里町は、群馬県境を流れる神流(かんな)川に隣接し、かんがい用水として恩恵に浴しています。また、軽井沢方面に行く時には、しばしば八ッ場ダム予定地の吾妻(あがつま)渓谷を通り、すばらしい景観を堪能してきました。
学習会では、嶋津暉之氏(八ッ場ダムをストップさせる市民の会連絡会)による科学的で説得力のある講演を聞き、確信を持つことができました。
上里町では、深井戸から取水する水でおいしい水道水が十分賄えるのに、むりやり県の河川水を買わされてきました。流域各県で飲料水の需要が減少し、水余りになっていることは、このことからでも明らかです。
ダムが大洪水時に役立つかというとほとんどその効果がなく、利根川で補修を必要としている多くの堤防の改修こそ急務となっていることを知り、あ然としました。
群馬県議会で、八ッ場ダム中止の先頭に立っている元鬼石町長の関口茂樹議員は、神流川にできた下久保ダムによって多数の住民が湖底となった地から退去させられただけでなく、川がせき止められ天然記念物の三波石がむざんな姿になったことなど自然破壊についても指摘しました。関口氏の勇気に敬意をはらうとともに、その話を聞き強い憤りを感じました。
埼玉でも、秩父の浦山ダム建設で湖底となり故郷から追われた友人が私の町にも熊谷にもいて、「湖畔の先祖のお墓は熊の住み家となり、お参りにもいけない」と言っています。
八ッ場ダムの建設を進めれば、国民負担がふくれあがることは明らかで、中止はやむをえません。現地の住民に寄り添った解決を切に願い、学習会で得た確信を多くの人に知らせていきたいと思います。
(新聞「農民」2009.11.2付)
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