「農民」記事データベース20091102-899-05

松川事件60周年記念全国集会


事件の真相を語り継いでいこう

 松川事件が発生してから今年で60年を記念して、10月17、18の両日、事故現場近くの福島大学で全国集会が開かれ、全国各地から1200人を超える人たちが集まりました。

 松川事件とは、1949年8月17日未明、東北本線の松川・金谷川間で起こった列車転覆事件で、乗務員3人が死亡しました。人員整理撤回をたたかっていた国鉄労組、東芝労組の役員20人が犯人として不当に逮捕されました。被告全員が無実を訴えたにもかかわらず、裁判では1審、2審とも死刑を含む有罪判決でしたが、被告やその家族、そして全国的な松川事件対策協議会の結成など、広範な国民が「無実の者を死刑にするな」と訴え、1963年全員無罪を勝ち取りました。しかし、真犯人はいまだみつかっていません。

 集会では、主催者を代表して、大学一(だいがくはじめ)さん(NPO松川運動記念会理事長)が「いま、地元の中学生がボランティアで記念塔の草刈りをしています。小学生が“私たちの宝だ”と作文に書いています。松川運動を次に続く人たちにつなげていこう」とあいさつ。

 当時の担当弁護士の大塚一男さんや松本善明さん、そして福島大学にある松川資料室に携わった伊部正之さん(福島大学名誉教授)などから記念講演を受け、元被告および家族の方々と交流しました。当時、警察から自白を強要された元被告の赤間勝美さんは、真実を語る決意にいたった気持ちのありようを切々と述べました。

当時の状況を語る元被告とその家族の方々

 集会は最後に「松川事件を未解明の闇の中に葬り去ることは決して許されない。あらためて政府に、事件と真犯人の解明を強く求める」などの大会アピールをあげました。


たたかいに学び決意をあらたに

全国集会に参加した福島県農民連青年部の岩渕望さん

 今回は60年という節目の年であり、高齢になっている元被告や家族の方々から直接話が聞ける貴重な機会だと思い、参加しました。

 事件にかかわった方々の当時の出来事が、鮮明に語られました。当時の苦労は、私たちが想像できないほどのもので、参加者はそのひと言ひと言に耳を傾け、時には涙する場面もありました。

 また、松川事件資料室では、激励の旗に書き込まれた全国の支援者の思いや当時の新聞記事、被告からの手紙など貴重な資料を見ることができました。

 元被告や家族の方々の話に学び、松川事件を語り継ぎ、このような事件が二度と繰り返されぬよう、活動していきたいと思いました。

(新聞「農民」2009.11.2付)
ライン

2009年11月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2009, 農民運動全国連合会