「農民」記事データベース20091026-898-14

農家応援の9パン(9条型どり)作り

神奈川・秦野市
パン屋さん「レ・ルルド」
神保 桂(かつら)さん・百合子さん


 神奈川県秦野市内の団地の一角に店を構えるパン屋さん「レ・ルルド」。地元の小麦で作ったパンで、近隣の農家を元気にし、憲法9条をかたどった9パンで平和をアピールします。ひそかなファンが急増中です。

子どもに大人気の9パン

“地域農業 元気になって”
地元産の小麦が材料

 レ・ルルドのパンの原材料は、ポストハーベスト農薬の心配のない国産小麦、小麦粉からおこした発酵種、近海の塩、丹沢から流れる名水・秦野の水です。小麦は近隣の農家から直接、通常より高い価格で買い取っています。

 「農家が喜んでくれるのが何よりです。日本の農家はたいへんな状況。生産者の顔・熱意が伝わる小麦粉を使って、おいしくて安全なパンを作れば、地域の農業が元気になり、稲穂・麦穂が揺れる日本の田園風景を残すこともできます」。レ・ルルドの神保桂さんは力を込めます。

 桂さんは、5年前に幼稚園教諭をやめて、妻の百合子さんと本格的にパン屋を始めました。石窯(いしがま)で焼く、パン発祥以来の伝統的な製法にこだわっています。今年から自ら麦の栽培を始めました。「土にまみれて作ることで農家の苦労を味わえるし、『無農薬で安全なパンです』と自信をもって勧められます」

石窯からパンを取り出す神保桂さん

「平和をアピール」にファン急増

 レ・ルルドの9パンは、1個90円。100円玉1個で買える値段にして、「けんかをやめて、仲良くしよう」という9条の考え方を子どもにも理解してもらおうという思いからです。

 9パン作りのヒントは、東京都大田区のパン屋さん「ポルカドット」の伊藤幸男さんと知り合ったとき。パン作りを通じて、真剣に平和を訴える伊藤さんの姿に感銘を受けました。「9条に賛成の人も反対の人も、みんなでよく話し合って、世界が平和になろうというのが9条の理想です。どのパン屋にもメロンパンがあるように、9パンがあっていい」

 レ・ルルドのパンは、店頭販売のほか、藤沢市内のカフェ、秦野中井インターチェンジの売店、JAはだのの直売所「はだのじばさんず」などでも販売しています。将来は、生活と結びついたマーケットを運営したいと考えています。「パンを作って売るのが最終目標ではありません。食べた人が、穏やかでやさしい気持ちになってもらうことです」

 レ・ルルド 神奈川県秦野市下大槻410の2の7の107
 メール・アドレス lelourdes@mail.goo.ne.jp

(新聞「農民」2009.10.26付)
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2009年10月

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