「農民」記事データベース20091019-897-07

私と農業

トラクター新調したが…

全日本教職員組合書記長 北村 佳久さん(56)

関連/ぶどう畑で「産直協定」締結


 食と農を守る運動で活躍する方々に「農業への思い」を聞く新シリーズです。

 居心地がいい

画像 北村さんは、今年4月に書記長になるまで、8年間にわたって、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)の幹事を務めてきました。

 もともとは山口県の小学校の先生。2001年に全教の中央役員に選ばれて上京し、組織局長のかたわら、栄養職員部(給食関係の職員で構成)と食健連の担当になりました。食健連の会議にはほぼ毎回出席。お酒は強くありませんが、その後の懇親の席にも欠かさず参加してきました。

 「『食』と『健康』は、いろいろな立場の人が自然体で語り合えるテーマです。だから食健連は居心地がいいんですね」。

 幹事時代を振り返って印象に残ったことを3つ挙げてください、とたずねると、(1)全国の人と交流の輪が広がった収穫祭、(2)BSE問題で牛肉輸入再開に抗議してマイクを握った赤坂での宣伝行動、(3)学校給食についての文部科学省との交渉、との答えが返ってきました。「7月23日の『子どもの貧困をなくせ』をかかげた文科省前の集会にたくさんの方が集まってくださったのは、食健連のつながりがあったからだと思います」と言います。

 地域の衰退が心配

 実家は下関市内の農村地帯にあり、0・7ヘクタールほどの田畑と5ヘクタールの山林があります。家族を残しての単身赴任です。

「現在、田んぼは近所の人にお願いしています。でも、周辺も高齢化し、だんだん手が行き届かなくなってきました。帰るたびに草刈りしています」。

 作付けしていない田も荒らすわけにいかないので、帰省の機会に耕すそうです。そのためにトラクターも新調しましたが、「稼働するのは年に4、5日ですね」と笑います。

 教壇に立っていた地元の小学校は、当時120人ほどいた児童がいまは40人程度。複式学級になってしまいました。「農業と教育の関係」というと、給食を思い浮かべる人は多いでしょうが、農業の衰退は、地域社会から活力を奪い、実は教育にも深刻な影響をもたらしていると北村さんは指摘します。

 「学校の統廃合はどんどん進みますし、農家の子どもが修学旅行に行けないという事例も生まれています」。語りながら表情が曇ります。「農村に農民がいて、安心して生活できるということの意味を、もう一度考えるときではないでしょうか」。

 退任したら郷里に帰り、少しは土いじりなどを、と考えています。「まず山林の手入れから始めて、豊かな里山を少しでも回復させたいですね」。

 とはいえ、目下は民主党新政権に対じする方針と運動づくりのために東奔西走する日々。夢の実現にはいましばらく時間がかかりそうです。


「産直センターふくしま」とコープ東北サンネット事業連合

ぶどう畑で「産直協定」締結

画像 福島県北農民連の産直センターふくしまは9月12日、コープ福島など東北6県で7つの生協が加盟するコープ東北サンネット事業連合と「産直協定」を締結しました。産直センターふくしまが、7つの生協に果物などの産地直送品を提供します。東北サンネット事業連合としては、初めての「産直協定」締結です。

 締結式は渡辺靖さんのぶどう畑で行われ、サンネット事業連合・共同購入商品本部長の河野敏彦さんと産直センターふくしま理事長の阿部哲也さんが協定書を取り交わしました。「協定締結で、生産者と消費者を結んで豊かな食生活を築きたい」(サンネット事業連合の河野さん)、「産地に足を運んでいただけるような産直を行い、消費者と生産者が一体となって日本の農業を守っていく運動にしたい」(産直センターふくしまの阿部さん)と、それぞれあいさつしました。

 締結式のあと、福島や宮城から参加した40人余りの生協組合員は、農家の“かあちゃん”手づくりのおにぎりや豚汁で交流しました。

 また、この事業に参加したいという2人の農家があらたに会員になりしました。

(県北農民連ニュースから)

(新聞「農民」2009.10.19付)
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2009年10月

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