農協のあり方変えるチャンス国民的な共同の力で農協・農業の発展を全農協労連 「もう一つの農協大会」開く
第25回JA全国大会を翌日に控えた10月7日、全農協労連は「もう一つの農協大会」を東京・新宿農協会館で開催。「さらなるスリム化ではなく、協同の力で農協・農業の発展を」のスローガンのもと、全国から農協労働者や研究者ら41人が参加して、農協事業の民主的発展について討論しました。
開会のあいさつに立った全農協労連の国分博文委員長は、「政権交代で農協の事業や運動も転換を迫られている。JA全国大会は、議案で『大転換期』とうたっているが、会議はセレモニーになっており、農協が直面する課題に答える十分な討論ができない」と憂慮を表明。農協の合併やリストラなどの経営合理化路線が農協労働者を苦しめ、地域農業の衰退にもつながってきたことを指摘したうえで、「いまは農協のあり方を変えるチャンスでもある。この会での実りある討論で展望を切りひらこう」と呼びかけました。 続いて坂口正明書記次長が、JA大会にむけた全国の農協組織での協議を振り返りながら、以下の問題提起を行いました。 (1)全農協労連と全中の懇談などを通じて、「リストラ型(減収増益型)経営は限界。事業拡大の方向を探るべきだ」という問題意識は共有されつつあったが、大会議案はさらなるリストラを打ち出している。 (2)総選挙の結果をどう受け止めるのか、農林中金の巨額損失問題をどう反省するのか、という問題は議案で取り扱われなかった。農協系統は新しい情勢に対応した方針をまだ見いだしていない。 (3)農業再建の運動のなかで、農家組合員や農協労働者の目線で論議を深め、農協事業の将来像を描くことが大切である。 この問題提起を受けて、各界の4氏が「私の思い」と題して発言しました。(別項) 集会は、農協系統が食の安全・安心を求める国民世論に応え、「国民的な共同運動にしっかり参加することを通して、…農協事業を発展させること」を訴えるアピールを採択して閉会しました。
生産現場の声をすべての政党にJA特別決議JA全中の全国大会が10月8日、東京都内で開かれ、「政府・与党をはじめ、すべての政党に対して生産現場の農家組合員の声を主張し、国政に反映するという国民運動を展開する」という特別決議を採択しました。また、日本共産党の代表としてはじめて招かれた志位和夫委員長が、「価格保障と所得補償を組み合わせて米価1万8000円を保障し、輸入自由化にストップをかけ、日米FTA(自由貿易協定)にも日豪EPA(経済連携協定)にも断固反対を貫く」とあいさつすると、農協組合長や農家、農協職員などから、どよめきと割れんばかりの大きな拍手がわき起こりました。
農協への「私の思い」農業・農協問題研究所、農民連参与=山本博史さん総選挙で全国農政連はほとんどの選挙区で自公の候補者を推薦したが、その過半が落選した。国民多数の声を無視した政治姿勢は未来がない。JA大会の議案は、「大転換期」といいながら、内容は従来型の経営合理化策。農林中金のギャンブル金融の反省もない。協同組合本来のあり方を取り戻すときだ。 全農協労連中央会部会部会長(青森県農協中央会)=中村郁生さん JA大会の議案は、単協の役員や組合員の間ではほとんど議論されていない。これでは立派な方針をつくっても「絵に描いたもち」だ。組合員や職員の声をだいじにするために、農協労組はイニシアチブを発揮すべきで、そのためには組織の強化も必要だ。 山口県農協労組委員長(下関農協)=河田秀樹さん さらに合併を進めようというJA大会の議案は、組合員の立場から見てどうなのか? 将来の展望が見えない。農協の若い職員は金融業務ばかりやらされている。もっと現場で農家組合員の声を聞いて、土のにおいがわかる職員を育てることが必要ではないか。 農民連事務局長=笹渡義夫さん WTO体制を絶対視して国内農業を犠牲にする自民党農政が総選挙で国民の審判を受けた。この路線に加担し、国民との共同に背を向けてきたJA中央は、まずその政治的立場を反省すべきだ。職員の自発性を発揮し、地域住民とともに農業再生に取り組んでこそ、農協の本来の役割を発揮できる。農民連は、農協がそのような役割を積極的に果たすよう、食健連とともに働きかけを強める。
(新聞「農民」2009.10.19付)
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[2009年10月]
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