「農民」記事データベース20091012-896-05

「健康エコナクッキングオイル」
花王 やっと出荷停止に

早くから“発がん性物質含む”の声

関連/花王の“安全”回答に怒り


画像 鳩山新内閣が発足した9月16日、花王はやっと重い腰をあげ、健康エコナ印の食用調理油の販売自粛を発表しました。

 2000年初めから主婦連合会など消費者団体が、発がん性の成分を含有している恐れがあることから、販売中止と特定保健食品の取り消しを求めていました。

 健康エコナクッキングオイルは、ジアシルグリセロールを主成分として作られた合成油で、厚生労働省の特定保健用食品の認可や日本人間ドック学会の推薦を受け、「からだに脂肪がつきにくい」などと大宣伝し、健康を売り物にして販売されてきました。

 しかし、2003年以降に行われたリスク(健康影響評価)で、ラットの乳腺腫瘍(しゅよう)の発生増加や、マウスの皮膚発がん促進の疑いが報告され、今年7月には、エコナクッキング油製品にグリシドールエステル類が総計で約370ppm含まれていることが報告されました。

 グリシドールエステルのエステル結合が体内で切断されると、発がん物質のグリシドールができるため、大問題です。ドイツでは、グリシドールに変換されるものとして最悪の事態を仮定して販売禁止措置をとっています。食品安全委員会でも、菅野純委員が「グリシドールエステルが発見されたことは、健康上の危ぐがないと言えない結果」で、「国民の安全を考え、暫定的な即時対応の必要性の有無を検討することは危機管理上、充分正当」と述べ、健康上危ぐがないという従来の考えを修正するよう提案しています。


 すぐ全面回収と人体影響調査を

  農民連食品分析センターの石黒昌孝所長

画像 「花王は販売自粛しても、回収していません。すぐ全面回収すべきです。またエコナには、一般の油の10倍から182倍もグリシドールエステルが含まれていたのは、大変なことです。

 やせたいから、健康になりたいからと長年にわたって食べてきた子どもやお年寄りを含め、人体への影響を調査すべきです。エコナでがんになったという人もいると聞きますので、疫学調査を実施し、人体への悪影響について明らかにし、その対策と補償をすべきです。


安全を問う緊急集会開く

花王の“安全”回答に怒り

画像 9月25日、日本消費者連盟や食の安全・監視市民委員会などが主催して「エコナの安全性を問う緊急集会」が主婦会館で開催され、農民連も参加しました。集会には、説明側として食品安全委員会、厚労省、消費者庁、花王が出席。消費者の代表は「いつまで審査をやっているのか」「発がん促進や発がん物質の存在は明らかなので速やかに特定保健食品指定を解除し、疫学調査を実施せよ」「消費者庁はすぐ動け」などと追及しましたが、説明側は「科学に徹して、できるだけ急いで結論をだす」などと回答。花王は、「安全だ。グリシドールエステルを減らせば大丈夫」と回答し、消費者の怒りを買っていました。

(新聞「農民」2009.10.12付)
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2009年10月

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