「農民」記事データベース20091005-895-01

農民連青年部・夏の学習交流会

農業やる元気もらった

福島

関連/かんそう 参加者の情熱に圧倒された

 農民連青年部は9月12、13の両日、福島県二本松市旧東和町で「夏の学習交流会 in 福島」を行い、地元福島をはじめ、山形や新潟、千葉、静岡、愛知、岐阜などから60人余りの青年が、各地の特産品を持って集いました。ベトナムからの留学生や京都大学大学院の学生といった異色の参加者も。夜の交流会&宿舎は、神社の宿坊・木幡山参宿所の大広間でした。


留学生・院生など異色の参加者

 持ち寄った特産物で盛り上がり

画像 1日目は、青年部長の杵塚歩さんが「全国から青年がこれだけ集まっている。ここに日本の農業を変えていく希望があると思う。おおいに語り合いましょう」と開会のあいさつ。その後、元JA営農指導員で農業技術相談所の大橋新(あらた)さんが、「将来の土づくり」について講演しました。「農」とは自然であり太陽だという話からはじめた大橋さんは「農業技術の答えは、人間に聞くのではなく作物に聞いてください。そして、必ず試験の区域を設け、効果を確認しながら納得して行うこと」と前置きして、「一番土を壊すのはきゅう肥(家畜ふん尿が含まれているもの)。土づくりの基本はたい肥(家畜ふん尿が含まれていないもの)」など、土づくりの大切さ、注意すべき点をわかりやすく話しました。

 また、地元で取り組まれている担い手育成プロジェクト「ゆいまある」が紹介され、ベトナムから東京農工大学に留学しているグエン・フイン・トゥアットさんが「留学生から見た日本の農業」について話し、そのなかで「日本は機械化され農業技術が高いが、特に若者の間でつながりが希薄になっているように感じる。自分の利益にならないと参加しないようにもみえる」などと感想を述べました。

ベトナムの留学生トゥアットさん(右)と青年部長の杵塚歩さん

 夜の交流会では、各地から持ち寄った特産品のほかに、地元の青年部が準備してくれた屋台での焼肉やカレー、焼きそばなど、テーブルに盛りだくさんのごちそうが並ぶなか、自己紹介して交流を深めました。

土づくり 大切さ・注意点学ぶ

 腐葉土使用の野菜農家を訪問

 2日目は霊山町に移動して、農業技術相談所の大橋さんの案内で、深水管理で米づくりをしている農家や腐葉土で土づくりをしている野菜農家を訪問しました。深水管理に取り組んでいる橘内多美子さんは、「この方法にしたら、異常気象でも安定して10俵以上は収穫できるようになった。一番の魅力は倒伏の心配がないこと。いっぱいとれても味が落ちないのがうれしい」と話しました。青年たちは、稲刈り間近の稲穂に触りながら、「苗は反当たりどれくらい植えるの?」「深水はどのくらいの期間続けるの?」など、熱心に質問していました。

収穫したミニトマトを前に野菜農家の話を聞く青年たち

 また、山の腐葉土(広葉樹のみ)で土づくりをしているニラ農家の菅野哲雄さんは「年々品質が落ちて悩んでいた。大橋さんの話を聞き、『そんなことは絶対ない』と半ば疑いながらやってみた。3年たってようやく効果が出て、病気が出なくなった。いまではニラづくりが楽しくてしょうがない」と話していました。

 交流会を準備した福島県連青年部の佐々木健洋部長は、「遠くから、何時間もかけて参加してくれたみんなに感謝です。『福島に行って元気もらってきたよ』って言ってもらえたら最高ですね」―さわやかな秋空のもと、疲れが吹き飛ぶ笑顔でした。


かんそう

参加者の情熱に圧倒された

 可児知洋さん(岐阜県・兼業稲作)

画像 いま、父と協力して深水管理の米づくりに挑戦して2年目ですが、なかなか思うようにいきません。今回、深水管理で成功している水田を目のあたりにして、「すごいなあ、自分のとは全然違うな」って思いました。生産者から直接話が聞けてたいへん勉強になりました。いっしょに参加した友人も、「植物は環境に対応して成長するものなんだな」と感心していました。

 岩瀬圭介さん(愛知・豊田農民組合)

画像 どの地域の青年も、「農業」に対する情熱が体の外にあふれんばかりで、その雰囲気に圧倒されました。大橋さんの案内で田畑を視察したときも、米や野菜の生育具合を調べたり、農家に直接質問したり、自分との熱意の違いを見せつけられました。この交流会を通じて、熱意に満ちた青年部を知り、自分もみんなと肩を並べられるよう、農民連の一員としてがんばりたいです。

 渡辺由理さん(日本販売農業協同組合連合会の職員)

画像 同世代の青年たちと話しができて、すごく楽しかったです。農業ってたいへんな職業だな、そこでがんばっている青年たちってどんな人たちだろうと思っていましたが、話してみると普通の青年って感じ。でも、とってもしっかりしていると思いました。そして、すごく農業をしたくなりました。ぜひしたいです。

(新聞「農民」2009.10.5付)
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2009年10月

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