本の紹介
日本婦人団体連合会編
女性白書2009
女性差別撤廃条約30年
条約実施が遅れている日本に焦点をあて
農民連女性部が加盟する日本婦人団体連合会が毎年編さんしている「女性白書」の2009年版が発行されました。
今年は、国連で女性差別撤廃条約が締結されて30周年。女性差別撤廃条約は、男女平等を求める世界の女性たちの目標となるとともに、男女雇用機会均等法など日本の男女平等の流れにも大きな転機をもたらしました。7月には国連の女性差別撤廃委員会で、日本政府の第6回条約実施報告が審査され、「条約やこれまでの勧告が実施されていない」と厳しく指摘をされました。
本書は、条約の30年のあゆみをたどり、その画期的な内容とこの間の前進を確認するとともに、日本における条約実施がなぜ他国と比べて際立って遅れているのかに焦点をあて、この国の政治・経済のあり方を問う1冊となっています。
「女性の現状と要求」の章では、「農村からの報告」として農民連女性部副部長の渡部チイ子さんが執筆を担当。米価下落による収入の減少や高齢化など日本農業の困難を、豊富なデータで具体的に分析するとともに、農村社会における女性たちの奮闘を紹介。「農民連の女性組合員が元気でいられる根源は、国の農政が“猫の目”のように変わっても、食糧主権を実現するために『ものづくりをあきらめない』こと」と記しています。また「くらし・社会保障」の章では「食の安全・環境と食糧主権」をテーマに全国食健連事務局長の坂口正明さんが、執筆を担当しています。
巻末には、女性差別撤廃条約の条文や、日本政府報告に対する婦団連レポート、豊富な統計資料も収録されています。
▼定価3200円+税
(新聞「農民」2009.9.21付)
|