「農民」記事データベース20090921-894-05

日韓両組織に共通点多い
学び合い共闘の方向探る

農民連女性部
韓国女性農民会(KWPA)と交流

結成20周年記念大会に招待

関連/種子を守る取り組み訪ねて(尚州)

 農民連女性部は、韓国女性農民会(KWPA)から結成20周年記念大会に海外から唯一招待され、8月20〜22日の間、渡部チイ子さん(福島)、武田れい子さん(奈良)、高橋マス子さん(神奈川)が参加し、交流を深めました。


にぎやかで元気いっぱい 組織の強さ感じた

 8月20日、KWPAの結成20周年記念大会がソウル市内の体育館で開かれ、全国からそろいのTシャツなどで装った女性たち3000人が参加。音楽集団のライブや寸劇など、たいへんにぎやかで元気の出る大会で、組織の強さに驚きました。

 開会あいさつで会長の金京順(キム・キョンスン)さんは、20周年を迎えた喜びを全身で表現し、「WTOを打ち破っていこう」と訴えました。来賓として、国会の農林水産委員会の委員長や民主労働党の国会議員とともに、農民連女性部から渡部チイ子さんがあいさつしました。

 渡部さんは「日本政府は、韓国に対して無法きわまる加害者であった歴史の真実をゆがめ、過去の侵略戦争を美化しようとしています。しかし、私たち日本国民は、過去のあやまちを認め、貴国に対して誠意を持って謝罪することを求めています。平和憲法を守り抜き、二度と悲惨な戦争が繰り返されないように、核兵器のない世界をめざして、世界の人々と連帯して行動しています」と語りかけました。「暮らしを支え、農業の大切な担い手である韓国と日本の女性農業者がともに交流し、学びあい、情報を共有しあい、連帯して行動していきましょう」と呼びかけると、参加者は大きな拍手でこたえました。

歌って踊って元気いっぱいのKWPA大会

 男はコブシ、女は学んでたたかう

 21日には、KWPAの役員と懇談しました。会長の金さんのほかに、事務総長の沈文姫(シン・ムンヒ)さん、政策委員長の具点淑(ウ・チャンスク)さん、ビア・カンペシーナ国際調整委員の尹今順(ユン・グンスン)さんらが参加。日本を何度か訪れているユンさんは「日韓の農業には、共通点が多いのでともにたたかいの方向を探りたい」と発言。また会長の金さんは、李明博(イ・ミョンバク)政権の市場開放政策や農協の民営化、北朝鮮への援助米中止、最近の米価暴落などについて、詳しく説明しました。

 日本側からも説明した後の交流では、韓国側から日本の米価の安さに驚きの声が上がっていました。また韓国側の教育事業について質問したところ、「特定のカリキュラムをつくって、農民運動とは何か、女性としてのプライドにも言及して政治・経済・食糧主権などについて学習している。今後は歴史についてもやっていきたい」と答え、特段の力を入れているようすが伺えました。そして「男はコブシでたたかい、女は学習してたたかう」と言っていたことが、印象的でした。

 また、食糧主権の活動の一環として、在来の種子を守る運動に取り組んでいることも紹介されました。これは、「消費者が1万ウオンを寄付し、収穫時に実物をもらうか購入する。またカンパもOK」という取り組みで、日本でいえば大豆トラストにあたる運動のようです。

KWPA役員のみなさんと。前列左から2人目が会長の金さん


種子を守る取り組み訪ねて(尚州)

種子を自家採取して
地産地消を確立する運動

守る運動を続ければ農業のやり方が変わる

画像 22日には、その在来の種子を守る取り組みを見ようと、慶北地域にある尚州(サンジュ)を訪れました。

 慶北農民会が始めた「みんなの畑」(ウリトッパッ―顔が見える生産者と心の通じる消費者がともに作る食安全事業団体のこと)は、500平方メートル以下の畑で環境に優しい農法で種子を自家採取し、地産地消を確立することを目的にしています。週1回のふるさと宅急便の包み(ケロ)事業を今年14人の女性ではじめましたが、反響の大きさに驚いていました。

 説明してくれたキム・ジョンイルさんは、「新自由主義の下で、カーギルやモンサントのようなごく少数の多国籍企業が世界の農業を支配しようとしている。私たちの種子を守る運動は、韓国農業の変革にはすぐには及ばないかもしれないが、いつかは農業のやり方が変わると思う。女性たちが包み事業を通して経営に参加し、生き方に関心を持ってもらいたい」と、控えめななかにも強い意志を感じました。この事業に参加する消費者は、いまのところ50数人ですが、2倍に増やしたいと抱負を語っていました。

尚州でウリトッパッ事業にとりくむ農家ときゅうりの収穫

 きゅうりを収穫体験した後で、みんなでトウモロコシの跡地にダイコンの種子をまきました。作業を終えた後、あぜ道に広げられたスイカやビール、マッコリで種子の成育と日韓交流を祈願して“乾杯!”しました。

(新聞「農民」2009.9.21付)
ライン

2009年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2009, 農民運動全国連合会