総選挙の結果について2009年8月31日 農民運動全国連合会会長・白石淳一
一、30日に投開票がおこなわれた衆議院議員選挙で、自民・公明政権が国民のきびしい批判を受けて大敗を喫し、退場することになった。自民党は、119議席と公示前の3分の1に激減させ、公明党も31議席から21議席に大きく後退した。 民主党は絶対安定多数を大きく上回る308議席を獲得し、政権交代を確実にした。総選挙で野党が単独で過半数を得て政権が交代するのは、戦後はじめてのことである。「農業再生プラン」を掲げてたたかった日本共産党は得票を伸ばし、現有議席を確保した。 戦後、自民党政治は農産物の輸入自由化や農業破壊を進め、農業と農山村、国民の食糧を危機に追い込んできた。農民連は1989年に結成して以来、農民の要求を基礎に自民党農政とたたかい、その転換を一貫して要求してきた。今回、国民の審判によって自民党が政権から追われるに至ったことを、深い感慨をもって歓迎する。 一、308議席を獲得して政権与党となった民主党の大躍進は、「自公政権ノー」の風と「二大政党」の「政権選択」という大キャンペーンのもとで、民主党への支持の大きな流れとなった。半数の票が死票となり、第一位の候補だけが当選するという小選挙区制の影響によるところも大きい。 民主党政権の政策の具体的内容は不明であるが、民主党が選挙で国民に約束した後期高齢者医療制度の廃止、労働者派遣法の抜本改正、教育の無償化、生活保護の母子加算の復活などをどう実現するのかが問われている。 農業では、BSE対策をはじめ、農民や国民の要求と一致するものが含まれており、農民連はさらに運動を広げて要求の実現に全力をつくすものである。 同時に民主党は、日米FTA(自由貿易協定)交渉の促進、憲法9条を視野に入れた改憲論議を否定せず、衆議院の比例定数の削減、近い将来の消費税増税も示唆している。 これらは、民主党が「財界中心」「軍事同盟中心」という旧来の政治の枠組みや、農産物の輸入自由化万能論の立場に立っていることの現れであり、農民連はこれらの重大な問題に対し、国民世論を背景に断固たたかうものである。 一、選挙で示された農民や国民の審判は、積年の自民党政治へのきびしい怒りであり、国民が主人公の新しい日本の政治と、新たな農政を展望するうえで大きな前進であると考える。 農民連は農民の要求を高く掲げ、組織をさらに前進させ、農業と農山村を再生するために全力をつくすものである。
(新聞「農民」2009.9.14付)
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[2009年9月]
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