「農民」記事データベース20090907-892-02

産地と結びついた学校給食を

教育のつどい 教職員や父母と農民が共同で

 8月21〜23日、「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい2009」が東京都内で行われ、のべ約7000人が参加しました。国民の共同で教育を充実させようと、同実行委員会(全日本教職員組合など26団体で構成)が毎年開いているもので、農民連も今年から実行委員会に参加して、学校給食などの問題で積極的に発言しました。


農民連も実行委に参加 食の安全など積極的に発言

 21日の開会集会後に行われた「教育フォーラム7 子どもの育ちと食・農業・環境」は、食健連の坂口正明事務局長がコーディネーターを務め、学校給食職員、父母らとともに、千葉県・多古町旬の味産直センターの小林由紀夫さんがパネリストとして報告しました。

 パネリストの各氏は、貧困と格差が拡大するもとで、給食以外に満足な食事がとれないなど、子どもたちの食生活に深刻な乱れや欠乏が広がっている実態を指摘。「子どもたちの生きる力をはぐくむために、学校給食の果たす役割はますます大きくなっている」と共通して訴えました。

千葉・多古町の小林さんは、東京の学校給食に野菜を供給するとりくみを報告しました

 小林さんは、産直センターが東京の小中学校に野菜を届けている活動について発言。生産者が農産物をもって学校を訪問したり、反対に子どもたちが農村を訪問したりすることを通じて、子どもたちが食べ物に強い関心を持つようになることを紹介し、「産地と結びついた給食は、食に対する主体性を育てる」と強調しました。

 22、23の両日にわたって開かれた「体育・健康・食教育」の分科会では、中京女子大学の新村洋史教授が討論の投げかけを行い、「地域と学校の共同で、学校給食を『食教育』にふさわしいものに発展させよう」と呼びかけました。

 農民連食品分析センターの石黒昌孝所長は「食の安全」についてリポート。豊富な統計資料や分析センターの調査結果を示しながら、大量に流入する輸入食品が食の安全を危うくし、農家の生活も脅かしていることを具体的に明らかにしました。「教職員や父母と農民が力を合わせ、地産地消の給食を実現して子どもたちの健康を守ろう」と訴えると、大きな拍手が起こりました。

食品分析センターの石黒所長は、輸入食品の危険を詳細にリポート

 参加者からは、「減反をしながら米を輸入している現状を、子どもたちにどう説明したらいいのか」「農家の後継者が育たない理由は何か」など、率直な質問が次々と寄せられ、農業問題への関心の高さがうかがわれました。会場で即売した雑誌「農民」臨時増刊号も、すぐに完売してしまいました。

 「食教育」の小分科会では、学校給食を教育にふさわしいものに発展させるためにも、民間委託化に歯止めをかけ、自校直営で職員の創意を生かすことが重要との発言が続きました。

 また、町内の農水産物を食材の中心に据えることで子どもたちにおいしい給食を提供し、地域の農家も元気になっている和歌山県すさみ町の実践が報告され、大きな注目を集めました。

(新聞「農民」2009.9.7付)
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2009年9月

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