「農民」記事データベース20090907-892-01

米屋さんと生産者をつなぐ交流会 東京会場

ゆきすぎた規制緩和のりこえ
手をつなぎ確かな米の流れを

関連/夏の学習交流会 in 福島

 早場米地帯では稲の刈り取りが始まり、新米が店頭に並び始めるなか、農民連ふるさとネットワークは8月23日、東京都文京区で10回目となる「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」を開き、北海道、東北、関東、北陸の生産者と、首都圏を中心とした米卸業者、お米屋さんの合わせて160人余りが参加しました。天候不順、低米価のもとで、生産者と米屋さんが手をつなぎ、米を消費者に届ける流れをさらに強めようという熱気であふれました。


交流10年
築いた信頼、さらに発展を

画像 主催者あいさつをした、ふるさとネットの堂前貢代表は「低米価の原因に、年間77万トンもの不要な輸入米や大手量販店の買いたたきなど政府の無策があり、農民連は、備蓄米の買い上げなどの対策を一貫して求めてきた」と強調。JA全中、全農も買いたたきの規制を主張し、ミニマムアクセス米についても輸入が義務だとする「政府見解」の見直しを求めているとして、「各団体が力を合わせて、対策を求めることが大事だ」と述べました。

 日本米穀小売商業組合連合会(日米連)の長谷部喜通理事長と東京山手食糧販売協同組合の大林正孝常務理事が来賓あいさつ。「第1回から毎回参加している」という長谷部理事長は「『いい米作りがしたい』という農家と、『いい米を売りたい』という米屋さんが意見を出し合って、信頼関係を一つ一つ築いてきた。お互いに交流を深めて、さらに有意義な結果を出してほしい」と語りました。

 大林氏は、政府による脈絡のない施策、ゆきすぎた市場原理主義で、卸業者がダメージを受けている実態を告発し、「生産から流通まで、まともなルールを確立する必要がある」と指摘。「こだわった米が地位を確立しなければならない。しかし、価格の安い米から売れていくというのも無視できない現実だ」と述べました。

お米屋さんと生産者が熱心に交流

 各産地から「日照不足、病害虫の発生など天候不順による影響があったが、急速に回復しつつある」との生育状況が報告され、参加者は熱心に耳を傾けていました。

稲の生育状況を説明する新潟の生産者

 別室に設けられた農産物・加工品展示コーナーでは、米の試食や稲の展示、農民連食品分析センターによる米の残留農薬とカドミウム検査の紹介が行われました。

 第2部の懇親会では、東京都米穀小売商業組合文京支部の渡邉弘理事が乾杯の音頭をとりました。さらに交流・意見交換を続け、最後に農民連の笹渡義夫事務局長が閉会あいさつをしました。


米屋の強みは“信頼”です

大提燈米穀店 中島哲さん
(東京都杉並区)

画像 特別栽培米を常時20種類くらい置いて、お客さんにいろいろな産地や銘柄をすすめています。魚沼コシヒカリが人気ですが、もっと手ごろな価格でおいしいお米があることも知ってもらいたいと思っています。

 卸さんは1俵から扱ってくれるので助かります。

 店が駅前なので、持ち帰りのお客さんが多く、店頭販売が3割くらいあり、1キロの袋がよく出ます。スーパーなど競争相手が多いなかで、米屋の強みは「信頼」です。そのためには、常に良質の米を探し、提供する必要があります。

 この交流会は2回目。今回は茨城の無農薬米に興味をもちました。


米屋さんの感想

 生育状況知りたくて初めて参加

  渡辺商店・渡辺博敏さん(千葉県船橋市)
 産地の生育状況を知りたくて、初めて参加しました。以前、産地見学で大規模なライスセンターを見て、がっかりしました。生産者が一生懸命作っても、良い米も悪い米も一緒くたにされて、生産者の努力が報われないと思いました。生産者にはぜひ、「これが自分の作った米だ」と誇りをもって売ってほしい。以前は、産地情報は米問屋が教えてくれて終わりでした。これからは米屋も生産者もお互いに本気で交流すべき時代になりました。

 売るだけでなく生産者の声伝え

  ヨロズヤ米穀店・原田聡一郎さん(千葉県佐原市)
 初めて参加しました。生産地の状況や、生産者の生の声が聞けて、貴重な情報交換の場でした。生産者が大変なのもよくわかりました。産地や生産者がわかるように工夫して、消費者に届けたい。

 農家との交流がもっとできれば

  村上米店・村上誠吾さん(静岡県浜松市)
 直接、農家と話せるのがいい。いろんな産地と交流して、時間が足りないくらいでした。売る方は、「安く売ろう」と思いがちですが、厳しいなか、農家はがんばって米作りをしています。米屋に求められているのは、農家と消費者の距離を縮め、安全・安心なお米を届けることだと思います。


農民連青年部
夏の学習交流会 in 福島

▼日時 9月12日(土)午後1時現地集合〜13日(日)正午まで
▼場所 福島県二本松市の木幡山参宿所
 TEL 0243(46)2869
▼参加費 1万円
▼申し込み先 農民連青年部
 TEL 03(3590)6759

(新聞「農民」2009.9.7付)
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2009年9月

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