「農民」記事データベース20090831-891-04

北海道信連また400億円の赤字

赤字信連が7道県、3・5倍増
身を削って農林中金へ多額の出資


 8月15日現在、「ディスクロージャー誌」などに、29の都道府県農協の信用事業連合会(信連)の2008年度決算が公表されています。その概要と特徴をみると、表(1)、(2)のように、前年度290億円と全国最大の赤字を出した北海道信連が、2年連続でしかも406億円という赤字決算となっており注目されます。また赤字信連は、前年度の2県から7県へと3・5倍に増え、358億円もの有価証券評価損を出した静岡も含まれています。

 農林中金への増資には、多額の赤字を出した北海道や経営再建中の千葉県まで、ほとんどすべての信連が参加しており、農林中金を中心とする系統出資金を前年度比で2倍以上に増やしたところも4県あります。

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ますます増える有価証券の評価差損
“いつまでバブルの夢追うのか”の声も

 昨年から大きな問題になっている有価証券運用での損失は、農林中金ばかりでなく、多くの信連にも大きな影響をもたらしています。

 とりわけ神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫などの有力県で、有価証券運用が1兆円を超えており、これらの信連では、表(2)でみるように、膨大な評価差損や売却損を発生させているところが少なくありません。

 アメリカからの報道によれば、農林中金が最大の資金をつぎこんだ住宅抵当公社ファニーメイは、本年1〜3月期に231億ドル(2・3兆円)の赤字を出し、4〜6月期にも148億ドル(1・4兆円)の純損失となったことから、公的資金による追加支援を要請しています。アメリカ国内でも「いつまで国民の税金をつぎこむのか」「バブルが終わったいま、幕を閉じるべき企業だ。いつまでも夢を見ずに現実に戻るべき」だといった厳しい声がひろがっています。

 農林中金や信連が行っている有価証券などの運用の資金源は、いうまでもなく組合員の大切な貯金であり、単位農協や組合員の経営にも重大な影響を与えることが避けられません。

※決算は、47都道府県のうち、農林中金との統合ずみの10県と県単一農協で信用事業を実施している奈良、沖縄を除く35県が対象。

(新聞「農民」2009.8.31付)
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2009年8月

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