憲法の成立と今日的意義は?
新潟・農林水産九条の会が交流集会
新潟県の農林水産九条の会は7月25日、新潟市内で4回目の交流集会を開きました。
2006年に結成された同会は毎年交流集会を開き、今回のテーマは「そもそも日本国憲法とは…―その制定過程と今日的意義を考える」。開会あいさつをした新潟県農協中央会元総務部長の西山文四郎さんが「憲法の原理と成立過程を改めて深く学ぼうと計画した」と、開催目的を説明しました。
講師は、新潟大学大学院実務法学研究科の成嶋隆教授。「憲法第9条の今日的意義―原点に立ち返って―」のテーマで報告した成嶋氏は、憲法前文や9条の戦争放棄条項から導き出された非核3原則、武器輸出禁止3原則、経済の非軍事化などが、軍事大国化への有効な歯止めになってきたと指摘しました。
その一方で、「政府の解釈改憲により、憲法が禁止する『戦力』概念の際限のない拡大が行われ、自衛隊を合憲にする策動も強められてきた」と強調。海賊対処の名によるアフリカ・ソマリア沖への自衛隊の派兵問題にふれ、「海外派兵の恒久化、武器使用基準の緩和をねらったものだ」と批判しました。
リレートークでは、報告者が日本国憲法への思いを語りました。農民連会員の渡辺憲一さんは、明治憲法について、天皇が絶対的権力者として位置付けられ、国民に兵役義務を負わせて侵略戦争に駆り立てた元凶であると批判。空腹と寒さの中での朝鮮・満州での行軍のようすや中国・南京、上海での戦闘など自らの体験を語り、日本国憲法を守る重要性を述べました。
県進歩の会の滝沢豊秋さんは、軍需産業がアメリカの経済を支えている問題にふれ、「オバマ大統領は、軍縮と核兵器廃絶によってアメリカ経済の復活をめざしている。経済の非軍事化という意味からも、日本国憲法の存在意義を再確認する必要がある」と強調しました。
県民教育研究所の内山雄平さんは、日本国憲法の精神を教育の中でどう生かすかという観点から報告。公教育を投げ捨てる大阪・橋下徹知事にたいし、高校生が「勉強は生きていく上で不可欠。学ぶ権利は憲法で保障されている」と、自らの願いや要求を憲法に依拠して主張したことを紹介しました。
最後に新潟県農民連の町田拡会長が「交流を通じて、9条を守る運動の意義を再確認できた。さらに運動を強めよう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2009.8.24付)
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