増税勢力にキッパリ審判を
総選挙の一大争点
消費税増税
総選挙が8月18日に公示され(30日投票)、各政党はマニフェストを発表。医療費無料化や最低保障年金、そして子育て支援、教育の無償化、農家への所得補償などの政策実現を訴え、有権者を引きつけようと懸命です。しかし、その財源は大丈夫なのでしょうか。そこで出てきた問題が、消費税増税に頼るのか、頼らないのか。総選挙の一大争点になっています。
自民 公明
消費税増税を公約
欧州は税率下げというのに
2年後 税率12%と試算
自民党、公明党は、景気回復したら消費税を増税する、と公約しています。自民党のマニフェストには、消費税増税のため「2011年度までに必要な法制上の措置」を講ずると盛り込んでいます。しかも、6月には税率が12%になるという試算まで発表しました。消費税率5%で家族4人暮らしの消費税負担分は、年間約17万円(日本生協連調べ)。12%にあがれば約40万円の負担です。
イギリスなどのヨーロッパでは、景気対策として消費税の税率を下げているというのに、日本では逆に増税です。
民主党
“4年間上げない”しかし
将来の増税を否定せず
社会保障に充当といって
民主党の鳩山代表は「4年間は消費税をあげない」と言っています。
具体的には、消費税5%を維持し、税収の全額を年金財源に充当、社会保障以外にあてないことを法律上も会計上も明確にするとしています。そして消費税を増税する場合には、社会保障制度の抜本改革を前提に、引き上げ率や使途を明らかにして国民の審判を受けるとし、増税を否定していません。
共産党
“景気破壊税”と反対
軍事費・大型開発やめ
大企業に応分の負担を
日本共産党は、消費税増税は最大の景気破壊税であり、消費税増税に反対を貫くと公約。
5兆円の軍事費にメスを入れ大型開発のムダ遣いをやめ、大企業に応分の負担を求めれば、財源は生み出せると主張しています。
“福祉のため”は真っ赤なウソ
大企業・法人税の減収分を穴埋め
「高齢化社会の福祉のため」と言って消費税が導入されてから、はや20年。本当に消費税は福祉のために使われたのかというと、まったく違います。消費税導入後、表1のように、医療の大改悪と福祉切り捨てが推し進められました。「社会保障のため」とは、真っ赤なウソでした。
この20年間に国民が納めた消費税額は213兆円。社会保障が切り捨てられる中で、この収入分はどこへ行ってしまったのでしょうか。表2のように、企業が納める法人税は大企業優遇の減税措置で40%から30%に引き下げられ、法人3税の減収額は182兆円。つまり、国民が納めた消費税は、大企業が納める法人税の減収分の穴埋めに消えていたのです。
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大企業は、消費税をすべて取引先や消費者からもらい、さらに下請け業者や納入業者には消費税分を買いたたいている事例があります。
しかし農家や中小業者の多くは、消費税をもらえない場合や、価格の低迷、暴落が消費税分を帳消しにしてしまう例がほとんどです。そういう場合でも消費税を「もらった」ものとみなされて申告・納税しなければなりません。所得税では所得が赤字ならば納税の必要はありませんが、消費税はたとえ赤字でも納税しなければならないのです。
たとえば宮崎県農民連では、07年の消費税申告で121人が2900万円近くを納税しましたが、その半数の農家は所得税がゼロでした。赤字経営にも容赦しない消費税に、みんなが怒っています。これ以上の増税は許されません。今度の総選挙では、増税勢力にキッパリとした審判をくだしましょう。
号外ビラもって農民と対話
農民連が千葉・埼玉で
農民連は8月8、11の両日、千葉、埼玉両県で、30日投票の総選挙に向けて、新聞「農民」号外を手に農家を訪問し、対話しました。
8日は、千葉県酒々井町を訪問。園芸農家からは「天候が不順で、今年の出来具合が心配」など不安の声が出されました。「米価が安くてたいへん」という米農家にたいして、「備蓄米を買い上げ、安売りを規制することが大事」と訴えると、「その通り」と応じました。対話した農家から「今までの農政ではだめ。民主党も頼りない」などの声が共通して出されました。
11日には、埼玉県大利根町の農家を回って対話しました。行く先々で「米価が下がってたいへんだ。このままでは農業が続けられない」という声が噴出しました。炎天下、草取り作業にいそしんでいた女性は「うちも農業は赤字続きでたいへん。こんな農業を大切にしない政治は変わってほしいですね。がんばって」と述べました。
(新聞「農民」2009.8.24付)
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