本の紹介
河合知子著
「牛乳を搾る暮らしと飲む暮らし」
暮らしから見る牛乳の生産と消費
酪農家の女性の本音と喜びが満載
牛乳・乳製品を通して、生産する人と消費する人の暮らしを考えてみよう、という本が出版されました。筆者の河合知子さんは、北海道職員(生活改良普及員)、短大教員を経て、現在は食生活と農村生活のコンサルティング会社を運営。本書では、北海道の酪農家の女性たちのアンケート調査など、筆者の経験が随所に生かされています。
とくに酪農の現場にあって、なかなか表立って語られることのない酪農家の女性たちの本音が、いきいきと紹介されており、その内容は抱腹絶倒。休日のない「生き物を飼う」生活の厳しさと喜び、嫁しゅうとめ問題、夫の家事協力(非協力もあるようですが…)、女性の力だけでは「活躍」できない女性の起業活動など、女性なら「その通り!」と叫びたくなり、男性は(もちろん農民連の男性会員諸氏も含めて)ドキッ、ヒヤッとさせられること満載です。
同時に、「消費者が安心して牛乳乳製品を口にすることができるのは、酪農家の存在があってこそ」と筆者があとがきで述べているように、消費者に昨今の酪農を取り巻く環境の厳しさをもっと知ってほしい、との熱いメッセージも込められています。
本書は「全酪新報」という酪農家向けの新聞に連載した記事に加筆修正したもので、章立て、中見出しも多く、文章はエッセーのような趣。女性にも男性にも、生産者にも消費者にも、ぜひ気軽に手に取って読んでほしい1冊です。
▼四六判 126ページ
▼価格 1500円(外税)
▼発行 筑波書房 TEL 03(3267)8599
(新聞「農民」2009.7.27付)
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