「農民」記事データベース20090727-886-05

米価急落の原因の1つ MA米

08年度も目いっぱい輸入

関連/「米の緊急対策」で懇談


 昨年秋におこった輸入汚染米事件で、日本中を恐怖におとしいれたミニマムアクセス(MA)米。事件発生から4カ月の間に、85件もの「カビ状異物」が発見され、そのうち5件からカビ毒アフラトキシンがみつかっています。

 しかし農水省は、いまもMA米の袋を破り、目視でカビ汚染がないかどうかを確認しながら、食品会社に販売を続けています。正規のルートを通じて、いつ汚染された米が国民の口に入ってもおかしくない状況です。カビ汚染の続出で「通常ではない事態」をWTOと輸出国に通告し、安全確認と在庫が一掃されるまで輸入をストップすべきです。

 ところが農水省は、2008年度(08年4月から09年3月まで)も上限の76万6000トン(玄米換算)までめいっぱい輸入しました。

画像
荷上げされるMA米

 国別にみると、アメリカが43万トン余(全体の56%)、タイが26万トン余(34%)、中国が7万トン余(10%)で、このうち中国産はすべて主食用で、1キロ180円台の超安値で市場に出回っています。

 アメリカ産43万トン 県別ランク5位

 さらに、08年産の県別生産実績と比べると、表のように、アメリカは米どころの北陸・東北・北海道などと肩を並べて堂々の5位にランクされます。

画像

 宮城県の米農家は「うちはアメリカに負けてんのか。なんとも腹立たしい限りだ」と怒っています。米価急落の原因の一つがMA米だけに、必要のない米の輸入はやめるべきです。


宮城県農民連
県農協中央会など11農協を訪問

「米の緊急対策」で懇談

 宮城県農民連は7月1日から9日にかけて、県農協中央会をはじめ11の農協をまわり、組合長や役員に「米の緊急対策」を要請し、懇談しました。また、この行動のなかで新聞「農民」が2部増えました。

 このうち、全農副会長でJA全中理事を兼ねる県中央会の木村春雄会長は「要請の内容は、全中会長と全農専務に伝える」と約束。栗っこ農協の菅原章夫組合長(県中央会副会長)は「ミニマムアクセス米の輸入と大手量販店の安売りは、まったくもってけしからん」と憤りを表明。またあさひな農協の桜井専務も「牛の値段も安いし、野菜も買いたたかれている。何とかしなければ農家はやっていけない」と話すなど、賛同と共感が広がっています。

 宮城県連の鈴木弥弘事務局長は、「短期間での農協への申し入れ・懇談でしたが、米の情勢を見据えた農民連の緊急要求の正確さに確信を得ました。そして、緊急要求は大きな力になるとあらためて実感しました。おおいに運動を広げたい」と語っています。

(新聞「農民」2009.7.27付)
ライン

2009年7月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2009, 農民運動全国連合会