「農民」記事データベース20090727-886-01

滋賀・栗東市

地場産の野菜をもっと学校給食に

地産地消 学校側・生産者の思い一致

関連/米屋さんと生産者をつなぐ交流会

画像 滋賀県栗東市では、朝市グループが農民連と協力して、地場産の野菜を市内の学校給食に供給しています。「地場産の野菜をもっと使ってほしい」「使いたい」という生産者と学校側との思いが一致して進んでいる地産地消の取り組み。これが学校での食育を支援するボランティアグループに発展して帰農者を中心に20人を超える生産者になり、さらに仲間が増えています。


朝市グループ

新たな販路探しがきっかけ
出荷作物も生産者もふえ

 農薬を使わない野菜づくりに力

 「消費者との触れ合いがいい。やりがいと生きがいを感じます」。朝市を週2回、6年にわたり取り組んでいるグループのリーダー役、山本勲さんは、取り組みが軌道に乗ってきた3年ほど前から「新たな販売先を探したい」と考えるようになりました。滋賀県農民連栗東農民組合の会員で市農業委員会の杉田聰司副会長が呼びかけて、学校給食への出荷を検討し始めました。

 一方、同じころ、市の給食センター(市立学校給食共同調理場)の千代彰参事員は、市内の農村風景を目の当たりにして、「どの小学校も周りは田んぼに囲まれている。この恵まれた環境を利用しない手はない」と常々感じていました。3、4年前から農業委員会、JA、行政の会合の席で「可能な限り地場の野菜を使わせてほしい」と働きかけてきました。

 さらに共同調理場、行政、朝市グループなどとの懇談が進み、それぞれの思いが一致。2007年度から給食への地場産農産物の供給が始まりました。栗東農民組合も協力して出荷するようになりました。タマネギ、ジャガイモなどを作る國松清太郎さんは「子どもの口に入れるものだから、いいかげんなものは作れない。農薬を使わないから虫に食われて大変です」と野菜作りにいっそうの力が入ります。

 栗東の文化や歴史を学ぶ機会に

 市内生産者からの出荷は、07年にはタマネギ、ジャガイモだけでしたが、08年はインゲン、ニンニク、キュウリなどが加わり、09年は量も飛躍的に増えました。

 出荷作物だけでなく、出荷する生産者も増えています。今年からジャガイモなどを出している山元伊三男さんは「販売先があるのがうれしい。それにしても野菜作りは難しいね」と笑います。

 市内9小学校での栗東産農産物の利用割合は、米が100%、野菜は食材数で54・3%にまで引き上がりました。給食の献立表には、毎日のように栗東食材の日が設けられています。

“給食だ〜いすき”(栗東市立金勝小学校)

献立に“栗東食材の日”

「ほのぼの鍋」「おでん鍋」の日
生産者も招かれ、児童と会食

 栗東ならではの給食があります。1990年に始まった「ほのぼの鍋給食」。野菜がたっぷり入った5年生だけのメニューです。白菜とブロッコリーが栗東産です。

 もう一つは05年から4年生が食べている「菜めしとおでん鍋給食」。大根とサトイモが栗東産。栗東はおでんと縁が深く、おでんの名の由来になる豆腐田楽が菜めしとセットで、東海道上の栗東の休憩所で出されて、旅人の名物になりました。食育基本法のなかで「伝統ある食文化の継承」がうたわれており、これらの鍋を食べてもらうことで、栗東の文化や歴史を学ぶ機会になっています。「ほのぼの鍋」「おでん鍋」のときは、生産者を学校に招いて、農業の喜びや苦労などを語ってもらい、給食を児童と一緒に食べます。

 共同調理場の千代さんは「子どもの食育を支援する場としての給食センターの役割をさらに高めていきたい」と展望します。

 食育担い農業を教える会に成長

 生産者の側は、食材の提供に加えて食育への取り組みをさらに進めようと、社会福祉協議会の助成も得て、ボランティアグループ「栗東食育ファームの会」を発足させることになりました。7月15日には、甲賀市を訪れ、食育の先進的な取り組みを視察しました。

 「ファームの会」の発起人の一人で、給食への地場産採用に奔走してきた杉田副会長は「地域の人もまきこんで食育を担い、田植えや稲刈り、収穫などの体験を通して、子どもたちに農業を教える会に成長させたい」と意気込みます。

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学校給食を支える生産者。(右から)杉田、三浦、山本、山元、國松の各氏

 栗東農民組合の三浦平次組合長は「農業を理解してもらうことは、子どもたちの食習慣を変える上で大事なこと。給食に携わる生産者を増やすことで、食育の取り組みに貢献したい」と話しています。


“産地まるごと届けたい”
米屋さんと生産者をつなぐ交流会
大阪会場
8月9日(日)午後2時〜(交流会)、5時半〜(懇親会)
会  場

大阪市・港近隣センター(地下鉄中央線「朝潮橋」徒歩2分)
参 加 費 無料、ただし懇親会は3000円
申し込み 農民連近畿米ネット TEL 06(6965)2900 FAX 06(6965)2901
東京会場
8月23日(日)午後2時〜(交流会)、4時半〜(懇親会)
会  場 東京・文京区民センター3階会議室(地下鉄三田線または大江戸線「春日駅」徒歩0分、地下鉄丸の内線「後楽園駅」徒歩5分)
参 加 費 無料、ただし懇親会は3000円
申し込み 農民連ふるさとネット TEL 03(3590)1337 FAX 03(3590)9524

(新聞「農民」2009.7.27付)
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2009年7月

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