「農民」記事データベース20090720-885-07

本の紹介

北出俊昭著
「食料・農業の崩壊と再生」


日本の農・食を「生」へ
導く治療方法を提言

 日本の農業と食料が重病になっていますが、著者の北田さんはこれを「死から生」へ導こうと、これまでの経過を診断し、正しい治療方法を見出そうとまとめています。

 第1章「問われている食料の安全と安定」では、頻発する偽装問題から世界の需給実態まで、今日の食料をめぐって質と量の両面から分析し、必要な対策を提言しています。

 第2章の「食料確保対策と農政の展開過程―自給率問題を中心に」では、日本の食料自給率低下の推移を分析し、とくにイギリスにおける自給率向上の経過から教訓を整理しています。

 第3章の「米の価格・所得政策と水田農業」では、米政策の変化、価格・所得政策とミニマムアクセス(MA)米問題を解明し、「米改革」で政府が「脇役」になり、米農家の家族労働報酬が時給で179円になって「自己搾取」の状況に陥っていることから、「義務輸入」の中止は当然であることを強調しています。

 第4章「食料主権と日本農業の再生」では、農民連の成果も活用しつつ、食料主権の重要性を強調し、家族経営を基本とする「日本型農業」再生への課題を解明しています。

 さらに補章として、「韓国における直接支払い制度」を紹介し、米を中心に最近の動向を整理しています。

 日本の食と農を考える上でおおいに参考となる新著です。

▼定価 2800円+税
▼筑波書房 TEL03(3267)8599

(新聞「農民」2009.7.20付)
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2009年7月

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