奈良県農民連北和センター朝市
メンバー全員が定年退職者
生産の誇り取り戻す
関連/会長一家の協力・援助で一気に種まき・収穫・草刈り
客はお年寄り “送り迎えは助かりますョ”
奈良県大和郡山市の近鉄駅そばの空き地で、奈良県農民連北和センターの11人の会員が、毎週日曜日に朝市を開いています。メンバー全員が定年退職者で、校長先生や銀行の支店長、大手電気会社のサラリーマンなど、かつての職業も多彩です。両端を開放した質素なビニールハウスのなかに、立派で新鮮な野菜が所狭しと並べられています。ジャムや草もちなど多彩な加工品も、メンバーのお母ちゃんたちの手作りです。
朝市の主役は女性たち。3人の女性がレジ係を担当し、1人は値札に書かれた値段を読み上げ、1人が電卓をたたき、もう1人はソロバンでダブルチェック。このうちの1人が、個人別の出荷数や売上額をエクセルで集計して全員に伝えています。直売所に不可欠な機能と協同の考え方が貫かれています。
しばらく買い物客や仲間たちと談笑していたら、この朝市の偉大な役割に気づかされました。買い物が終わっても帰る人が少なく、朝市の周りは人だかり。「1週間分の野菜を買った」と、持ちきれないほど抱えて悪戦苦闘していた80歳台のおじいさんは、「ひとり住まいだから、毎週の朝市が楽しみ」とニッコリ。「いっぱい買うと、トラックで家まで送ってもらえるから助かる」と言います。会員の元校長先生いわく「お客さんはお年寄りが多いから送り迎えもやりますよ」とのこと。「いつも来てくれる方の姿が見えないと心配になる。朝市は健在を確認する場ですよ」。
元校長先生の実家は山間地にあり、朝市が始まってから、荒らしていた畑を耕して野菜を作り出荷しています。もう1人の会員も、竹やぶになっていた畑を借りてハウスを2棟建てて野菜を作っています。わずか6坪ほどの売り場で、消費者と向き合って生産の誇りを取り戻したときの農民のエネルギーはすごい。意欲に燃えた農民の作り出す“命の糧”を真ん中にして、地域のコミュニティーが作られ、小さいながらも循環型社会がかたちづくられています。
全国で繰り広げられているこうした努力に農政が光をあて、背中を押したらどんなに希望が開かれることでしょう。生産を増やし、エコで地球環境にやさしく、内需型・循環型、そして人間と人間が交わりあう社会への転換を促進すること請け合いです。“たかだか朝市、されど朝市”―小さくて偉大な実践です。
(農民連事務局長 笹渡義夫)
埼玉・春日部楽農倶楽部
埼玉・春日部楽農倶楽部(高橋晃会長)は梅雨の晴れ間の6月28日、ジャガイモの収穫、大豆の種まき、サツマイモの草取りを3人の参加で一気に行いました。
当日の農作業は、遅れていた大豆の種まきを予定していましたが、昼から雨という予報もあり、ジャガイモの収穫やサツマイモ畑の草取りもやることになりました。高橋会長をはじめ奥さんの勝子さん、長男の光司さんのご支援・ご協力を受けて3つの作業を1日で終えることができました。
3人ではとても無理だということで、高橋会長一家が、自宅作業を一時中断して総出で協力をしてくれたのです。勝子さんは手際よく収穫、種まき、草取りを、光司さんは大豆の種まき用の畝つくり、晃会長さんはジャガイモ収穫後のトラクターでの整地作業をしてくれました。
退院したばかりの高橋会長は、体調が十分ではありません。会長のトラクターを運転する姿を見て感謝の気持ちで私の胸が熱くなりました。
(春日部楽農倶楽部 西村正昭)
(新聞「農民」2009.7.13付)
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