FAO発表
飢餓人口 10億1700万人
史上最高 世界人口6人に1人
貧困と飢餓の克服――農業生産の向上でこそ
国連食糧農業機関(FAO)が6月19日に発表したところによると、2009年の世界の栄養不足人口は、史上最高の10億1700万人となり、世界人口の6人に1人という割合になると予測されています。その主な原因は、不作ではなく世界的経済危機で、それが所得減少と失業を生み出し、貧困層を食糧から遠ざけたと説明しています。
FAO事務総長のディウフ氏は「世界的経済危機は、食糧価格の高騰と結びついて、前年から新たに1億人以上の人々を飢餓と貧困に陥れ、世界の6人に1人という飢餓危機は、世界の平和と安全を脅かしている。私たちは世界の飢餓を削減するための緊急行動が求められている」と語り、「この貧困と飢餓を克服するには、農業生産を高めるための政策がとくに必要だ」と強調しています。
80年代から90年代前半に、わずかずつ改善してきた世界の飢餓は、WTOに代表される新自由主義経済運営が強められた90年代半ば以降、急速に悪化し、96年に開催された世界食糧サミットの飢餓半減方針も、文字通り絵に描いたもちにされています。
ディウフ事務局長は昨年9月、「現在の動向では、飢餓の半減目標が達成されるのは2015年ではなく2150年になる」、つまり22世紀なかばまでかかるという悲観的な見通しを示しましたが、今回の発表はこれにさらに輪をかけるもの。
もはや一刻の猶予もなりません。自給率が異常に低い日本こそ増産に乗り出すことが求められています。
(新聞「農民」2009.7.13付)
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