「農民」記事データベース20090713-884-04

体細胞クローン牛豚は“安全”

食品安全委が最終評価


農水省は出荷自粛を継続

 食品安全委員会(見上彪委員長)は6月25日、体細胞クローン技術を利用した牛・豚とその子孫から作った食品は「従来の技術によって、牛や豚から作った食品と同等に安全」とする最終評価をまとめ、厚生労働省に答申しました。

 一方、農水省は26日、「安全宣言」の答申にかかわらず、今後も研究機関内で処分し、引き続き食品として流通させない方針を決めました。「現行の水準では、体細胞クローン家畜を作出する生産率が極めて低く、商業生産への利用は見込まれない状況」であり、「生産率の向上に向けて今後も研究開発が必要であり、また、さらなる科学的な知見の収集及び消費者等への情報提供も必要」だと指摘。出荷自粛は継続します。

 また農水省は30日、「家畜クローン技術の現状について」とする報告をまとめました。これによれば、体細胞クローン牛は、研究開始から2009年3月31日までに571頭が出生し、そのうち死産や生後直後の死亡、病死等が314頭(表1)、体細胞クローン豚については376頭が出生し、そのうち死産、病死等が220頭(表2)と、いずれも過半数を占めています。死産率も高く、出生後も異常が多くみられる現状は依然として変わっていません。

表1 体細胞クローン牛について
体細胞クローン牛出生頭数
 研究機関等で育成・試験中
 死産
 生後直死
 病死等
 事故死
 廃用
 試験と殺
受胎中の体細胞クローン牛頭数
571頭
71頭
79頭
94頭
141頭
9頭
11頭
166頭
7頭
表2 体細胞クローン豚について
体細胞クローン豚が出生等した研究機関数
体細胞クローン豚出生頭数
 研究機関等で育成・試験中
 死産等
 病死等
 事故死
 試験と殺
受胎中の体細胞クローン豚頭数
8機関
376頭
45頭
126頭
94頭
16頭
95頭
1頭

 


安全性評価は認められない

食の安全・監視市民委、NPO日消連が抗議文

 食の安全・監視市民委員会(神山美智子代表)とNPO法人日本消費者連盟(富山洋子代表運営委員)は26日、食品安全委員会の見上彪委員長にあてて、「体細胞クローン家畜由来食品の安全性評価は認められない」とする抗議文を送付しました。

 抗議文は「この問題に関する意見交換会では、私たちは科学的に欠陥のある評価書である、と繰り返し主張し、今年4月までに提出されたパブリックコメント340件においても国民の8割が反対を表明したにもかかわらず、そうした慎重な意見を無視する今回の暴挙は許されない」と表明。「直ちにこの評価書を撤回し、安全性評価をやり直す」よう求めています。

(新聞「農民」2009.7.13付)
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2009年7月

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