「農民」記事データベース20090713-884-01

このままでは09年産米価大暴落

農民連「緊急対策」求め行動 共感広がる

関連/〈JA全中・全農と懇談〉

 大手スーパーの安売り競争で、米価が下落しています。このままでは、秋の新米の大暴落は避けられません。「緊急対策」を求めて、農民連本部は白石淳一会長を先頭に、農水省に要請し、JA全中・全農と懇談しました。また各地方の農民連も、自治体・農協などを訪問して首長や組合長と懇談しています。「要請のとおりだ」「みなさんと同じ気持ちだ」と共感が広がっています。


〈農水局長に要請〉

自ら決めたルールきちんと実行せよ

 農民連・食健連は7月1日、「政府が決めた備蓄基準である100万トンを維持するため、備蓄米の買い上げを即時実施すること」「大手量販店の生産コスト、仕入れコストを下回る価格での販売を規制すること」などを求めて、石破農水大臣あてに申し入れました。農水省から、総合食料局の町田勝弘局長、枝元真徹(まさあき)流通課長らが対応しました。日本共産党の紙智子参院議員が同席しました。

農水省に強く要請する白石会長ら

 農民連の白石淳一会長は「このままでは09年産米価が大暴落し、生産資材が高騰する中で、農家の経営が立ち行かなくなる。農水省が自ら決めた備蓄ルールや米穀の基本指針どおりに米を買い上げ、一刻も早く米価下落に歯止めをかける対策を講ずるべきだ」と強調しました。また、ふるさとネットワークの横山昭三事務局次長は、10キロ2980円で安売りしている大手スーパーのチラシなどを示しながら、 「農家手取りで1万円を切るような米価では、とても再生産できない。農水省はこんな事態を放置しておくのか」と、きびしく追及しました。

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 農水省の町田局長は「米価は前年並みで推移し、とくに急落しているとはみていない。今ただちに米を買い上げることは考えていない」と言明。そして「農水省が価格操作のような対策を取ることはできない」と答えたことから、参加者は「せめて農水省が決めたことだけでもきちんと実行すべきではないか」と問い詰めると、枝元課長は「1、2か月先に何があるかわからないが、いまはその時期ではない」との答弁に終始しました。


〈JA全中・全農と懇談〉

MA米中止・量販店安売り規制…“気持ちは一緒です”

 農民連本部は2日、東京・大手町にあるJAビルを訪ね、JA全中・全農と「緊急対策」について懇談しました。対応したのは、JA全中・農業対策部水田農業対策課の一箭(いちや)拓朗課長、全農・米穀部事業対策課の鈴木章宏課長ら。

 白石会長は冒頭、「JA全中の会長さんがアメリカに行って『ミニマムアクセス(MA)米は理不尽だ』と発言された。また全農は、生産コストに見合う販売価格を大手スーパーなどに要請している。これらは私たちの思いと同じです。今の事態を打開するためにおおいに意見交換し、一致できるところで共同を広げていきたい」と呼びかけました。

 これに対して一箭課長は「農産物価格の低下で農家の所得が減少し、生産資材の高騰でコストが増えているが、これでは再生産できない。農家が元気を出せる所得の増大が大事。米価安定のために、JAとしてはしっかり生産調整に取り組みたい。備蓄米の買い上げは求めていない」と語りました。

 また全農の鈴木課長は、販売状況について契約はほぼ終了したと述べ、米卸業者や大手スーパー、生協などに対し、「現在の米価では生産コストをカバーできない」として、適正な価格での販売を要請していることを紹介。「気持ちはみなさんといっしょです」と話しました。

 農民連側からは「米価をめぐって、いつまでこうしたことが続くのか。根本には政府の『米改革』があり、見直しが必要ではないか。MA米もいいかげんやめるべきだ」などと提起し、JA全中・全農側からは「政府は“MA米は米の需給に影響を与えていない”と言っているが、そんなことはない。主食米の足をひっぱっている」などの意見が出されました。

(新聞「農民」2009.7.13付)
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2009年7月

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