仲卸制度 食の安全都民の台所 築地市場守ろう移転先は猛毒物質だらけ
豊洲への移転許すな世界に通じる食のブランドで知られる都民の台所、東京都中央区の中央卸売市場(築地市場)。石原都知事は、築地市場を、土壌汚染が深刻な江東区豊洲へ移転する計画にいまだに固執しています。石原都知事が2001年に、築地市場の豊洲(東京ガスの工場跡地)への移転を決めた直後に、基準値をはるかに超えた土壌汚染が判明しました。都の専門家会議の調査(07、08年)でも発がん性のあるベンゼンが環境基準の4万3000倍、猛毒のシアン化合物が860倍、その他、ヒ素、水銀、鉛などの有毒物質が検出されました。
大手ゼネコンなどで構成するJAPICが「(築地は)都心一等地として今後めったに発生しない大規模用地で、情報発信基地および都心型高層住宅の活用に」(1984年)などと述べているように、ねらいは、築地市場を追い出し、大型開発を推進することです。 移転予定時期は大幅にずれ込み、2012年から14年末に延期されました。移転にかかる総事業費は4316億円と巨額を見込んでいます。
この間、市場関係者や消費者、環境団体などが、移転に反対する大規模なデモ行進やシンポジウムを開催。「移転でなく、現在地での再整備を」と、世論を盛り上げています。7月12日投票の都議選でも、移転反対の候補者を一人でも多く、都議会に送ることが、移転中止の大きな力になります。
リスクある以上、中止すべきだ坂巻幸雄さん(日本環境学会土壌汚染問題ワーキンググループ長) 築地市場の豊洲への移転は、食の安全という点からみても大問題です。東京都は、汚染の事実を認めていながら、強引に移転を推進しようとしています。「移転」の結論先にありきの姿勢を直ちに改めるべきです。今回の問題点の一つは、汚染の実態調査が不十分でずさんなことです。法律上、ボーリング調査は10メートル間隔で行う規定があるのに、初期の調査は30メートル間隔と粗く、深さも大半が3メートルと、上っ面しか調べていませんでした。 昨年都が行った10メートル間隔での調査地点は全体で4122点。準備、作業、解析で最低3年はかかるというのが常識ですが、それを半年でこなしたのですから、まともな調査とは到底言えません。 さらに都は「一定の措置さえすれば汚染の拡散は防ぐことができ、万一汚染された食品を食べても健康への影響は軽微だから問題ない」と主張しています。食品の世界では、危険な要素はすべて排除するのが原則です。汚染された場所で、生鮮食料品を扱うことがあってはなりません。少しでもリスクがある以上、移転はやめるべきです。
(新聞「農民」2009.7.6付)
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[2009年7月]
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