着実にすすむ振興策農業が輝く村に農民連会員の菊池幸彦さんが村長の南牧村
雄大な八ケ岳連峰のすそ野に広がる長野県南牧村(人口3300人)は、標高1000メートルから1400メートルの野辺山高原に位置し、ハクサイ、キャベツ、レタスなど全国有数の高原野菜の産地です。この地に農民連の会員、菊池幸彦さん(67)が村長に就任して1年半がたちました。「安全な食は、安全な大地から」をスローガンに「農業が輝く村づくり」を着実に進めています。
村民の声聞いてくれて身近資材高騰に悩む野菜農家に支援「南牧村は、真夏でも30度を超えることはほとんどない冷涼な地で、高原野菜と酪農を主とする農業の村です。3つの標高日本一(注)をはじめ、豊かな八ケ岳の大自然に恵まれた観光の村でもあります」。菊池村長はこうアピールします。村長自身がレタスなど高原野菜を作る農家の一人。燃料費やビニール、ダンボールなど資材コストの値上がりに苦労しています。村は、資材高騰に悩む野菜農家に対し、「野菜安定基金」として独自に1000万円の支援を行っています。 さらに雑草や土の乾燥を防ぐためのマルチは、レタス栽培に欠かせません。使い終わったマルチを処分するときにかかる経費を「廃プラスチック処理料」として、村が3分の1補助し、農家の負担を軽減しています。 家族でレタスを栽培する菊池昌彦さん(35)は、村長を評して「農家の声をよく聞いてくれて身近な人です」。村が、農業後継者対策として、1990年から全面的にバックアップしてきた「野辺山レタスクラブ」は、都会から若い女性を招き、地元農家と交流する男女の出会いの場。昌彦さんも農業体験する畑を提供し、自らも交流の輪に加わりました。「都会の消費者との交流をもっと深めて、南牧村の野菜をアピールできればいいですね」と笑顔で語ります。
酪農に頼もしい村独自の援助も酪農も村の大きな産業の一つ。村の人口とほぼ同数の3200頭の乳用牛が飼育され、牛乳のほか、村内の乳製品加工場でソフトクリームやヨーグルトにして、独自ブランドで販売しています。酪農家への支援策として、法定伝染病の検査手数料の農家負担分全額を村が補助し、生乳の量を確保するために、飼育頭数を増やす牛導入資金への援助も実施しています。 循環型畜産に取り組む片桐恵司さん(60)も菊池村長に対し「酪農に理解があって頼もしい人」と信頼を寄せる一人。「牛ふんの処理も大きな課題」と話し、村が進める家畜排せつ物をたい肥化し、野菜農家に利用してもらう資源循環型農業にも大いに期待を寄せています。
農政懇談会発足新たな村づくり菊池村長就任後、農民、行政、JAの三者が村の農業をどう発展させるかを話し合う「農政懇談会」も発足しました。そこで出された意見が「村に直売所がほしい」という意見。村長と二人三脚で村づくりを進める高見澤英範副村長は「お年寄りや女性が生きがいをもって農業に携わり、村民にとっても交流の場となる直売所の設置を検討したい」と力を込めます。さらに村の面積の7割を占める林業の振興に加え、中学卒業までの医療費の無料化、妊産婦検診費用への全額助成など福祉の充実に取り組んでいます。自らの給与30%カット、村長専用車の廃止などで財政を倹約しています。 菊池村長は言います。「村民の知恵と力は村づくりの原動力。村民との対話を深め、恵まれた自然を生かしながら農林業、福祉、観光を生かした村づくりをさらに進めていきたい」
(注)3つの標高日本一
わが家のさつき
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[2009年6月]
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