農林中金09年3月末決算をみる
当期純損失史上最悪の6721億円含み損は2兆929億円前年度の5倍にふくらむ農林中央金庫は5月27日、3月末決算を発表しました。それによると、経常損失は図で見るとおり、前年度の3527億円の黒字から一気にマイナス6127億円へと赤字転落、当期純損失は6721億円と史上最悪の決算となりました。
問題はなお未解決有価証券での含み損(保有する有価証券の時価と簿価の差額)も2兆929億円と、前年度の5倍にふくらみ、会員組織への配当もゼロとなりました。前年6月に5兆3000億円と、ほかの国内金融機関をはるかに超えるアメリカ住宅金融2社の保有額も、本年3月では3兆3000億円と大きく目減りしています。このうち、いまアメリカ政府の管理下で再建中のファニーメイは、1〜3月期決算でさらに2兆3000億円という前年同期の10倍にあたる欠損を出しており、問題は解決どころかますます深刻化しています。
さらにしわ寄せも農林中金は決算結果について、「金融市場全体の歴史的なストレスの発生によって、保有する証券化商品などの減損処理が主因」と説明し、まるで農林中金には経営責任がなく、犠牲者であるかのような表現です。3月までに取り組まれた会員組織からの1兆9000億円にものぼる緊急増資によって、自己資本比率は3ポイント上昇して約16%となり、「厳しいストレス環境においても安定的な財務運営を可能とする基盤を構築した」と胸を張っていますが、農協や組合員へのしわ寄せは厳しさを増しています。 いま全国的に開かれつつある農協総代会では、第25回全国大会議案への批判とともに、この農林中金の決算結果をふまえた問題点の指摘も各地で広がっています。
平成の農地「改革」プランと農業・食糧農地法の骨抜き許さない東京食健連と生消研が学習会東京食健連と食糧の生産と消費を結ぶ研究会(生消研)は共催で、6月13日、「平成の農地『改革』プランと農業・食糧」をテーマに学習会を開き、会場の東京・新宿農協会館には約60人が集まりました。主催者を代表して滝澤昭義さんが「農地をどうしたらもうけのタネにできるか、財界はじゃまな農地法を骨抜きにしようとしている。国会で審議中の農地法改悪を許さず、おおいに学んで議論を」と呼びかけました。 講師の石井啓雄さん(駒澤大学名誉教授)は、「財界は経済財政諮問会議などで、戦後民主改革のひとつである農地改革を恒久的に維持しようと制定された農地法を変えて、企業参入と農地の所有権取得を要求してきた。農地法は、農作業に常時従事する者が農地を所有するかどうかが肝心な柱で、これが揺らげば本質的な変節だ」と述べ、家族経営による農村の維持・発展のための対案と運動が求められていると強調しました。 参加者からは「農村は長年の自民党農政で疲弊している。本当に農業で食っていけるにはどうすればいいのか」「米価がなぜ下がったのか。国の予算の使い方が間違っている。今度の総選挙でただそう」「企業が農業に参入すれば、食の安全・安心よりもうけ優先で心配」「生産費が価格に反映していないのは農産物だけではない。魚価も同じ」「都市と農村が交流して、農村を守っていくためになにができるのか、考えていこう」などの意見が出されました。
(新聞「農民」2009.6.29付)
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[2009年6月]
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