「農民」記事データベース20090622-881-02

ねらいを広く知らせ廃案に

農地法改悪案
いよいよ参院で審議ヤマ場

もうけ第1の企業進出許さず

関連/参院論議 矛盾に満ちた内容明らかに


 国民大運動実行委員会など3団体は6月10日、国会前で「海賊対処」派兵新法案や農地法改悪案に反対する集会を開き、300人が参加。農民連も北海道、秋田、新潟、富山、茨城、東京、神奈川から駆けつけました。

 新潟県農民連の今井健会長は「実際に耕作する農民が農業で生計を立てられるようにすることが食料自給率向上につながる。企業の農地進出を許してはならない」と、農地法改悪に反対する決意を述べました。

 その後、国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)は参院議員会館前で、農地法改悪案の審議に抗議する行動を行いました。秋田県農民連の鈴木万喜夫さんは、農業委員会のなかでも改悪案の中身がよく知らされていない実情に触れ、「改悪のねらいを周りに広げていきたい」と決意表明しました。

 神奈川県大和市で都市近郊農業を営む農民連女性部の高橋マス子副部長は「都市農業が注目されているが、このままでは開発で都市農業がなくなってしまう。家にも不動産会社から『開発する土地が欲しい』と電話がある。農地をもうけの対象にしてはならない」と警鐘を鳴らしました。

 続いて、新日本婦人の会、自治労連、全日本教職員組合の代表が、農業に寄せる思いと農地法改悪に反対する連帯のあいさつをしました。

廃案を訴える今井新潟県連会長(右)

 参加者は、参院の全農水委員を訪問し、廃案にするよう求めました。


参院論議
矛盾に満ちた内容明らかに

政府・民主党間の解釈の違い浮き彫り

 6月5日の参院本会議では、衆院で自民・公明と共同して修正案を提出した民主党の議員が質問にたちました。修正案は、政府案が耕作者主義を全面的に削除した第1条に「耕作者」という文言を挿入した内容でした。

 民主党の主濱了議員は「衆議院での修正の趣旨は、今後とも耕作者による農地に関する権利の取得が大原則であること。この場合の耕作者は、農作業従事要件を満たすことが必要であるが、あらためて確認したい」と質問。これに対して石破農相の答弁は「耕作者の意味については、現行農地法においても、必ずしも農作業に従事しなければならないとはなっておりません」。―これでは、耕作者のなかに一般企業が含まれることになります。

 こうしたやり取りに、「日本農業新聞」は「『耕作者』で対立再燃、農相答弁に民主反発」と報じました。政府と民主党の間で、修正部分の解釈に違いが浮き彫りになったことから、11日の農水委員会では、修正案の提出者(衆院議員)が答弁にたち、「耕作者は、農作業に従事する個人と農業生産法人が基本で、(一般企業など)それ以外のものは例外」「修正により、第1条に規定した耕作者は、これまでの耕作者の概念と同様に解すべきもの」と述べ、石破農相も追認しました。そして石破農相は「修正により、今後とも農地の所有権取得について、農作業に従事する個人と農業生産法人に限るべきであるということを明確にした」と答弁しました。

 また、自民党の岩永浩美議員は6月9日の農水委員会で、外国資本の企業が農業に参入できないよう歯止め措置が必要と、「再修正」を含めて検討するよう求めました。法案を成立させる側の自民党から、「再修正」を求めることも異例なことです。

 さらに農業委員会の体制を強化するよう求めると、石破農相は「臨時雇用の協力員を充てる」と答弁しました。

 参考人として委員会に呼ばれた農林中金総合研究所の副部長やワタミファームの社長は、「農地の賃貸借の期間を、20年以内から50年に延ばすことが、まったく理解できない。現場では5年もあれば十分だ」などと述べました。

 こうした国会での議論をみると、政府が提出した農地法改悪案が修正されたとはいえ、いかに矛盾に満ちた内容かということが、ますます明らかになってきています。

(新聞「農民」2009.6.22付)
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2009年6月

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