第25回JA全国大会 組織協議案を読む 》下《
農業参入の財界とも連携強め
自らも農業経営に直接進出
協議案では、3つの重点取り組み事項で、以下に見るような市場原理主義そのものの方針を提言しています。
(1)消費者との連携による農業の復権
来年3月までに策定される新たな「食料・農業・農村基本計画」に連動させた生産・販売戦略を提言していますが、改悪されようとしている農地法を前提としています。それは、農業参入する大企業とも連携を強化し、さらにリタイアする組合員の農地で、これまでの出資型法人を通してだけでなく、今後認められる農協自身による農業経営も視野に入れたものとなっています。
これがなぜ、新たな協同による農業の復権といえるのでしょうか。
(2)JAの総合性発揮による地域の再生
組合員・地域住民の生活の総合支援、助け合いを軸とした地域セーフティーネット機能発揮を掲げ、組合員だけでなく地域住民への支援を強調しているのが特徴です。健康・福祉・介護・子育て・環境保全など、多くの課題をあげ、さまざまな協同活動の場をつくることを強調しています。
しかし、それらの活動は受益者負担が原則で、しかも「選択と集中」の観点から改善・見直しを行うことが明言されています。
(3)協同を支えるJA経営の変革
JAらしい経営スタイルの確立、組合員との関係強化、活力ある職場づくりなどが目標としてあげられていますが、提案されている重点は「県域戦略」という名のもとに、農協の基本組織である単位組織の独自機能を無視した「あたかもひとつのJAであるかのような機能集約」です。これは農協を連合会の代理店扱いにし、協同組合らしい経営スタイルとは正反対の姿です。しかも、これまでも問題が多かった事業目標管理から、一歩進めて「目標利益確保」のために全職員を動員する構想を打ち出しています。
さらに、組織戦略として「准組合員100万人拡大計画」を提案していますが、すでに組合員数の48%にまでなっている議決権を持たない准組合員を、さらに100万人も増やすことは、正・准組合員の逆転を生み出すことは明らかです。
◇
「大転換期における新たな協同の創造」という表題と大きな矛盾を持つ今回の組織協議案に、理事・監事はもちろん、全国の組合員からの積極的発言が期待されます。
(Y・H)
(おわり)
(新聞「農民」2009.6.8付)
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