大企業の土地利用に道開く
農地法改悪は許せない
国会前行動に農民連も参加
農村から悪政を変えるぞ
国民大運動実行委員会など3団体は5月20日、定例の国会前行動を行い、農民連も千葉と東京から会員がかけつけました。
千葉県農民連の小倉毅事務局長が発言し、「米作りの時給が179円でも、おいしい米を作ろうとがんばれるのは、自分の土地だからできることだ。企業の土地利用に道を開く農地法改悪は許せない。農村から悪政を変えるためにがんばる」と決意を述べました。
その後、農民連と新日本婦人の会は、農地法改悪案の審議入りを控えた参議院の議員会館前で独自に、農地法改悪反対の行動を実施。最初、新婦人の玉田恵副会長が「農地を企業に明け渡したら、安全・安心な農産物でなく、工業製品のような食べ物を食べることになる。新婦人も日本の農産物を守ろうと、署名を短期間に500筆集めた」と発言し、東京の北区労働組合連合会の野中晴事務局次長は「農家から寄せられた食べ物で、派遣村に身を寄せた労働者の多くが救われた。安全・安心な食べ物を資本に渡してはいけない」と連帯のあいさつを行ないました。
参加者は、参院の全農水委員に対し、農地法改悪案の廃案を求めて議員要請を行いました。また、各地の農業委員から寄せられた反対の要請書を日本共産党の紙智子参院議員に手渡しました。
カゴメ 3期施設の建設中止
和歌山市加太菜園 税金使いながら早くも破たん
食品大手のカゴメは、和歌山市で生食用トマトを栽培する「加太菜園」の3期施設の建設を中止すると発表しました。「アジア最大のハイテクトマト菜園」が早くも破たんに直面しています。
カゴメは「販売が計画通りにいかず、生産・出荷の規模を縮小せざるをえなかった」と説明しますが、計画の見通しの甘さとともに、県民のばく大な税金を注ぎ込み、誘致を進めてきた和歌山県の責任も問われます。
当初の計画では、温室を1期目5・2ヘクタール、2期目5・2ヘクタール、3期目9・7ヘクタール建設する予定でした。フルに稼動して、県全体のトマトの生産量に匹敵する6000トンを出荷することになっていました。
1期目は2005年に完成し、現在稼動中です。今回中止になったのは、3期目で、全計画の約半分に相当する規模です。2期工事も、本来は完成して稼動していなければならないにもかかわらず、未着工のまま。今後も「着工は未定」とのことです。
県は20億円かけて用地を造成し、土地所有者である県土地開発公社から1平方メートルあたり約580円で借り受け、カゴメには100円で貸し付けていますが、稼動の見通しのないまま、今後もばく大な県民の税金を使い続けることになります。中止になった用地については「新たな企業誘致に取り組む」としていますが、今のところ、そのめども立っていません。
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カゴメの2期・3期施設の建設予定地(和歌山市) |
カゴメの巨大菜園について、紀の川市でトマトを栽培する児玉文平さん(71)=和歌山県農民連会長=は「もしフルに稼動すれば、われわれの販売にも脅威になりますが、広大な面積で大量の水を使う農園は、『採算も合わないし、うまくいかないだろう』と私たち農家はみていました。トマト農家は、自らの身を削って、生産と販売を増やしています。県は、見通しのない巨大な施設に税金を使うより、がんばっている農家への支援を手厚くすべきです」と話しています。
(新聞「農民」2009.6.1付)
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