採って食べて
しゃべって
大笑いして
茨城・常陸野農民センター
女性部の山菜採りツアー
関連/今に残る木橋
お母ちゃんたち元気の出る息抜き
「そっちにはワラビ出てっかい?」「目が慣れれば、見えてくるよ」「あっ! あるある!」――待ちに待った山菜の季節です。5月上旬、茨城県農民連の常陸野農民センター女性部が、毎年恒例の山菜採りツアーに繰り出しました。採って、食べて、しゃべって、大笑いして――農作業に家事に、多忙をきわめる農家のお母ちゃんたちの「元気の出る息抜き」を紹介します。
秘密のフィールド
早朝5時。センターの駐車場に続々と女性たちが集まってきました。今日の参加者は7人。さっそく1台の車に乗り込んで、大きくてたくさん山菜の採れる「秘密」のフィールドを目指します。
行き帰りの車中のおしゃべりも大きな楽しみです。「紀ちゃん、ネギの皮むき、終わった?」「まぁだ。山菜採りに行きたくて、夜なべでやったんだけど、終わらなかった。お父ちゃんが“オレがやっとくから、行っておいで”って」「わぁ、やさしいなあ。ウチの亭主なんて…(以下略)」と、車中でも笑い声が絶えません。
今回のターゲットはワラビとコシアブラです。植林して10年ほどの山に入り、ヤブを長いカマでかき分けると…、ありました! ワラビがすっくと生えています。にぎやかなお母ちゃんたちも、山に入れば、みんな夢中。無言で山菜採り。気がつくと周囲に人影はなく、時おり「オーイ、みんないるかーい?」「いるよー」という声が谷に響きました。
なにやら天気もあやしくなってきたため、この日は2時間ほどで切り上げましたが、みんな袋いっぱいに山菜が採れ、さらにリュックに背負っている達人も。採れた山菜はまず家族でおいしく食べ、残りは直売へ。「山採り」の山菜は大人気で、売れ残りもないといいます。
下山後、料理上手なセンター事務局の内田礼子さんが、さっそく採ってきたばかりのコシアブラやタラの芽などを天ぷらに揚げてくれ、手作りのお惣菜も並んで、「おいしい」「あぁ幸せ」を連発しながら、満腹になるまで山の幸をいただきました。
自分にごほうびを
一年中、忙しく働きづめの農家のお母ちゃんたち。「時には自分にも小さなごほうびがしたいね」という声で、女性部の山菜採りツアーは始まりました。「亭主の悪口言ったり、子育ての悩みを打ち明けたり、嫁姑のあれやこれや…。農民連の仲間だから、安心して思いっきり話せる」「こういう息抜きがあるから、いろいろ厳しくても、元気に農業やっていけるね」とお母ちゃんたち。「よしっ。また父ちゃんと夫婦仲良く仕事するか!」――前を向いて、もの作りにがんばるお母ちゃんたちに、笑顔が輝きました。
今に残る木橋
初夏を思わせるような陽気のなか、うきは市から南へ車で1時間半ほどの黒木町へ行きました。
黒木といえばなんといっても大藤(国指定天然記念物)です。この時期、素盞鳴(すさのう)神社の境内では樹齢600年を超える大藤がちょうど満開。
また、黒木町を東西に矢部川が流れていて、そこに南仙橋という全国でも珍しい木の橋がかかっています。1954年に架設した長さ63メートル、幅3・6メートル、高さ7メートルの木橋で、当然舗装もしていない、とても風情のある橋でした。
(福岡・みのう農民組合 金子徳子)
(新聞「農民」2009.5.25付)
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