「農民」記事データベース20090525-877-02

財界・大企業のねらいは
「所有権もよこせ」ということ

農地法「改正」反対・共同アピール賛同者
東京農工大元学長 梶 井 功さん


画像 農民連・全国食健連が各界の著名人に呼びかけた「農地法『改正』に反対」の共同アピール。その賛同者の一人、元東京農工大学学長の梶井功(いそし)さんに話を聞きました。

 これまでも何回か、農地法が改定されてきたけれども、いずれも生産現場、農業サイドからの要求でした。ところが今回は、財界の要求にもとづいて「改正」しています。

 財界はいぜんから、農業生産法人の要件を緩和して株式会社も農業に参入できるようにしろとか、やれ特区を作れだとか、所有と利用を分離しろなどと盛んに言ってきました。財界のいう第1段階は、農業生産法人の要件緩和や特区などで企業参入の道を開いてきましたが、今回の「改正」で第2段階は終了になります。すぐに第3段階の「所有権もよこせ」ということになるでしょう。

 なぜでしょうか。それは日本農業を再生しようということじゃありません。金もうけのためです。もうけ口をつくるためです。大企業がねらっている「適正でかつ効率的な利用」ができる農地とは、新潟の蒲原平野とか山形の庄内地方とか、北海道とか、そういった基盤整備された優良農地でしょう。しかも「低賃金の外国人労働者を入れる」とまで言っています。経団連の会長はキヤノンの御手洗さんだが、あの人が郷里の大分県で農業をやりますか。大分県にはあまり平野部はない。多くが中山間地です。効率がよくないからそんなところでは農業はやりません。ましてや耕作放棄地なんかではやりませんよ。

 いま、新自由主義が崩壊して大転換をはからなければならないというときに、なぜ農地制度や農政改革に新自由主義を持ち込もうとしているのか、まったく理解できません。日本農業を再生するには、なによりも個別の農業経営が十分な所得を得て、農業で生活していける条件を整備することです。そのために、農地も有効活用されなければなりません。財界の要求にそった農地法「改正」は、すべきではありません。

(新聞「農民」2009.5.25付)
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2009年5月

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