「農民」記事データベース20090504-875-10

旬の味


 ミツバチが激減している。本紙で浜松市の養蜂家が紹介されていた。困難を抱きながら、果樹や施設園芸農家に思いを寄せる心優しい百姓がここにもいた▼近くの組合員がしみじみと話してくれる。「周辺の農家が亡くなったり病気になって、規模拡大がすすんだ。収入もそれなりに安定してきた。だけど、人の不幸につけこんでいるようで素直に喜べない」と。心優しい百姓がここにもいる。やっぱり百姓って生き物は優しくないと生きていけない。助けられたり助けたりしないと生きていけないことをDNAが知っている▼一方、いまの農政の優しくないことといったらどうだろう。そのスポンサーともいうべき財界は「家族農業よ。長い間ごくろうさん。もうお引き取りくださって結構」とは、よくも言ってくれたものだ。日々一心に生き物と向かい合うという人間としての真摯(しんし)さがみじんもないではないか。農地法改悪もそうだ。今あらためて、心優しい百姓たちの時代こそ、この国を救うと確信した。

(倫)

(新聞「農民」2009.5.4付)
ライン

2009年5月

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