「農民」記事データベース20090330-870-02

農地法改悪や農政への怒り

活動推進シンポ 女性農業委員から続出

関連/反対の声もっと大きく

 「現場で働く農業委員として、今国会に出されている農地法の『改正』案はすごく不安です」「変わる内容をもっと現場に周知して、議論を尽くしてほしい」――全国農業会議所が主催した「女性農業委員活動推進シンポジウム」で、全国の女性農業委員から農地法改悪や農政への怒りの声が噴出しました。


農地法「改正」はすごく不安
内容を現場へ討論を尽して
地域の力になりたくても…

 農業委の根幹揺るがす問題

 3月9日に都内で開かれたこのシンポジウムは、女性農業委員の増加と活動の推進を目的に、年1回開かれ今回で5回目。33都道府県から約150人の女性農業委員が参加しました。

 今年は、農地法改悪という農業委員会の根幹を揺るがす問題が国会に提出されるなかで開催されたシンポジウムでしたが、農地法改悪についての説明は質疑応答も含めて30分ほどで終了。基調講演もパネルディスカッションも「女性農業委員の活動で活力ある農業委員会と地域農業・農村の確立を」という、直接には農地法と関係ないテーマが設定されていました。

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例年よりも参加者の多かった女性農業委員シンポ

 このまま国会通ったならば

 ところが会場からの発言では、農地法改悪や農政への批判が続出しました。事務局による農地法改悪の説明への質疑応答では、「遊休農地がなぜ増えたのか。農民から意欲を奪う国の農業政策のせいであるにもかかわらず、ここに一言の言及も反省もなく、農業者の怠慢が原因であるかのごとき農地法『改正』は無念でならない。この法案のまま国会を通 ってしまったら、日本の農業はたいへんなことになる」との発言があり、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こりました。

 また「農業をやってくれるなら、誰でもいいのか。申請者が本当に農業をすると、どうやって判断するのか。市町村合併で農業委員会の範囲が広がっているのに、調査体制や事務局体制は不十分なままだ。(改悪後の)法律文には何の支援措置の明記もなく、責任だけを負わせるのは納得できない」などの声も。

 パネルディスカッションでも「私は農業が好きで、農政が変わっていくのを目にして、なんとか地域の農業の力になりたいと女だてらに農業委員になった。中山間のわが集落は担い手不足、国道一本隔てた平野部には工場がどんどん進出しているなかで、この農地法『改正』は本当に不安だ」などの農政批判が相次ぎました。

シンポでの切実な声届ける

代表者5人 農水省を訪問

 最後に、「女性農業委員としての私たちの提案」を採択。このような「提案」を出すのは、このシンポジウム初の試みです。「提案」の文面は、あらかじめ事務局が全国の女性農業委員にアンケートをとって作成したものでしたが、パネルディスカッションの討論のなかで、「世界の食糧情勢をみると、お金さえあれば何でも買える時代ではない。農家が農業で生活できない原因は、輸入農産物の激増にあることは明らか。この“提案”の中に“WTO協定はNO”という文言を明記してほしい」という声が上がりました。

 翌10日には、この「提案」を携え、シンポジウムで提案を読み上げた千葉県船橋市の農業委員の齋藤教子さん(農民連会員)を含む代表者5人が、農水省を訪問。「遊休農地の増加は減反をはじめとする農政の責任」「農地法『改正』には女性農業委員として大きな不安がある」「WTO協定に日本はNOと言ってほしい」など、シンポジウムでの声を届けました。


反対の声もっと大きく

千葉・船橋 農業委員・齋藤教子さん

画像 女性農業委員の思いを「提案」にまとめたのも、それを持って農水省に要請に行ったのも初めての試みでした。全国農業会議所は農地法改悪に賛成してしまっていますが、農業委員の現場では反対と戸惑いが渦巻いています。今回こうした「初」の試みがされたというのも、農地法改悪の矛盾の表れだと思います。この反対の声をもっと大きくして、国会に届けていきたい。

(新聞「農民」2009.3.30付)
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2009年3月

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