この人
念願かない農業にとりくむ
埼玉・春日部楽農倶楽部 根本 健美さん(61)
“団塊”仲間を担い手にできれば
若い農業後継者が少ないなかで、団塊世代の人たちが定年後、各地で農業に挑戦しています。団塊世代も立派な農業後継者です。埼玉
・春日部楽農倶楽部会員で農民連会員の根本健美さん(61)もその一人。非農家出身ですが、念願がかない名実ともに農民になりました。
「見てください。出たばかりのホウレン草の葉が野鳥に食べられてしまった。おいしいからでしょう」と悔しそうに話す根本さんは、春日部楽農倶楽部会長の高橋晃さんなどから借りている畑で野菜作りに励んでいます。
根本さんが農業に取り組むようになったきっかけは、親の介護をするためでした。大手のアルミ建材メーカーで、30年余にわたって営業の仕事をしてきましたが、転勤も多く、親の介護疲れで妻の春美さん(56)が倒れてしまい、夫婦で世話をしようと定年の2年前に退職。生まれ育った春日部市の自宅で親の世話をしながらできる仕事は、農業でした。30年以上も家庭菜園が趣味で、野菜作りをしてきた経験もあったからです。「日本の農業をなんとかしたい。耕作放棄地を解消し、安心・安全な野菜作りをして自給率アップに貢献したい」との思いもあって、本格的に農業の道を選んだのです。
行田市の就農予備校で半年間、農業の基礎を学び、県農林公社の「見沼たんぼ就農予備校」では1年間、10アールのほ場で野菜を作り、年間を通した実務研修や販売などの経験を積んできました。卒業後、2年前から県農林公社の営農実践研修事業研修生として野菜作りに励み、今年1月に春日部市農業委員会長あてに営農計画書を提出し、名実ともに農民として認定されました。
根本さんは「将来は農業法人を立ち上げ、団塊世代の仲間が楽しく農業にかかわれ、担い手になれるような仕組みを作り上げたい」と抱負を語っています。
(埼玉・春日部楽農倶楽部 西村正昭)
(新聞「農民」2009.3.23付)
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