「農民」記事データベース20090309-867-11

ひょう害りんご販売
お米屋さんも一役

千葉・船橋「(有)まきの」


 昨年、大量に発生した青森県のひょう害りんご。津軽農民組合は被害果の「ほほえみ産直」への支援を訴えてきましたが、1月以降、報道などで事情を知った全国の消費者から注文が殺到し、在庫をほぼ一掃することができました。支援の広がりには、町のお米屋さんも一役買っていました。

 私のできる範囲で何か力になりたい

 2月17日午後、千葉県船橋市の米屋「(有)まきの」の店頭に、りんごの段ボール箱70個が積み上げられました。同店が注文をとりまとめた「ほほえみりんご」の第1便が届いたのです。

 店主の牧野基明さんは、昨年夏の「米屋と生産者をつなぐ交流会」(農民連ふるさとネットワーク主催)に参加した際、訴えに来ていた津軽農民組合の組合員からひょう害の話を聞きました。「私のできる範囲で何か力になりたい」と思った牧野さんは、知り合いの洋菓子店や食品加工業者に、ひょう害りんごの利用を打診してみました。しかし、いずれも材料の仕入れ先は決まっていて、このときは具体化はできませんでした。

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「(有)まきの」店頭に「ほほえみりんご」が到着

生産者SOS便で
お得意さんに支援呼びかけ

 仲間の米屋さんに取り組みひろげる

 その後も、近くの大手スーパーがひょう害りんごを扱ったことなどから、気にはしていた牧野さんですが、1月中旬、農民連ふるさとネットワークから「ほほえみりんご・ご支援のお願い」と題したファクスを受け取ります。そこには「12月以降りんごの出荷が滞り、このままでは大量の在庫を廃棄せざるをえなくなる」と書かれていました。改めて事態の深刻さを知った牧野さんは、このファクスをもとに「生産者SOS便」と名づけた自前のチラシを作成し、お得意さんに「ご支援できるかた、ご一緒にどうですか」と呼びかけました。

 ダイレクトメールに入れたり、米の配達のときに手渡したりするなどで、配布したチラシは約1500枚。すぐにお得意さんから電話がかかりはじめたほか、出入りしているビール会社の営業マンが職場で回覧してくれるなどして、合計で約200件、1500キログラムほどの注文をとりまとめ、津軽農民組合に発注することができました。また、仲間の米屋さんにも取り組みがひろがりました。

町のお米屋さんの信頼が
農家と消費者の心つなぐ

 牧野さんは、日ごろから各地の個性的なお米をそろえているほか、秋田のいぶりがっこ、山形のだだちゃ豆など、季節ごとに特産品を探してお客さんに提案してきました。「商売はものを届けるだけでなく、人と人をつなぐこと」と考えています。今回のりんご産直は、「生産者が困っていれば、消費者の支援の気持ちを届けることも大切」という思いで行動しました。

 店頭のポスターを見て最初にりんごを注文した齋藤恵美子さんは、「青森の被害はテレビで見て知っていました。おいしいお米の牧野さんが勧めてくれるものはいつも間違いがないってわかってますから、すぐに注文しました」といいます。

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「まきのさんなら安心」と語る齋藤さん

 米屋さんの信頼が、りんご農家と消費者の心をつなぎました。

(新聞「農民」2009.3.9付)
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2009年3月

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