「農民」記事データベース20090223-865-08

女性農民が“主人公”
自らの力で問題解決

女性部総会参加、本部役員と懇談

 農民連女性部との交流を進めようと、韓国女性農民会(略称・KWPA)組織教育局長のユ・ファヨンさんと、政策局長のキムファン・キョンサンさんの2人が、2月1日から4日まで来日しました。2人は、農民連女性部の総会に参加したほか、農民連女性部役員や本部事務局との懇談、千葉・船橋農産物供給センターの直売所や配送センターの視察などを行いました。


韓国女性農民会と農民連女性部が交流

 女性だけの農民組織はすごい!

 「日本の皆さんの発言を聞いて、韓国の農業もまったく同じ困難に直面していると思いました」――女性部総会を傍聴したユさんとキムファンさんの2人は、韓国の農業情勢とKWPAの運動について報告。韓国でもWTO協定発足の後、新自由主義的な政策が推し進められ、都市と農村の格差、農村内の貧富の格差が広がり、農村が過疎化していること、農産物貿易自由化によって食料自給率の低下が大きな問題となっていると述べました。

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農民連女性部役員とユさん(前列右端)、キムファンさん(前列左から2人目)

 農民連の女性たちからは「女性だけの農民組織を作るなんて、すごいですね」という声が上がりました。

 KWPAは、韓国全体の農民組織である韓国農民会(略称・KPL)とは別に、独立した方針をもち、運動している女性独自の農民組織です。ユさんが「農民として、女性として、女性農業者として、それぞれ固有の問題があります。男性を補佐し、男性に解決してもらうのを待つのではなく、女性自身の言葉で、女性が主人公になって、自分たちの問題を解決していこうと、女性農民会が結成されました。もちろん男性とも共同しています」と経緯を話すと、農民連の女性たちから、大きな拍手が沸き起こりました。

 会員を応援する家族への表彰も

 この後、2人は農業委員でもある千葉県船橋市の齋藤教子さん宅に宿泊し、元女性部役員の飯島和子さん夫婦も交えて交流。夫婦間の家事分担や直売所の経験、さらには「(日本でも韓国でも)男性は外では民主的なことを言うのに、家庭ではまだまだ封建的よネ!」という話題まで飛び出し、大いに盛り上がりました。

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農作業実習中の東葛看護学校の生徒たちと、農民連財政責任者の齋藤敏之さんの畑を見学するユさん(左端)とキムファンさん(右端から2人目)

 また、韓国ではKWPAの運動によって、「女性農業者支援法」が制定され、農村女性に実効性ある支援となっていることや、KWPAでは会員の活動を応援してくれる家族への表彰制度があることなども紹介され、ともに「教え合い、学び合う」大切さを共有した有意義な一夜となりました。


日本の産直を学びたい

船橋(葉千)の直売所「味菜畑」見学

 「産直の現場を見学したい」というのが強い要望だった2人。4日目に船橋農産物供給センターの直売所「味菜畑(あじさいばたけ)」と産直ボックスの箱詰め作業を、センター代表理事の飯島幸三郎さんの案内で見学しました。

 「味菜畑」に一歩足を踏み入れるなり「ずいぶん品数が多いですね」と驚嘆。「これまで私たちはおもに政治運動で農民運動を広げてきましたが、これからはこういった直売や産直など、生産を応援したり、農家の生活を向上させる取り組みをもっと強めていきたいです」と言うユさんは、「品ぞろえはどうしているのか」「値段は誰が決めるのか」「ふるさとネットの商品は扱っているか」などなど、具体的な質問を矢継ぎ早につづけます。

 飯島さんは生産者が安全・安心な野菜作りに取り組んでいること、その生産の様子を消費者に知らせ、生産者と消費者の距離の短縮に努めていること、そのなかで消費者にも農業を守ろうという共同が広がってきたこと、などを説明しました。

 2人は「発足当初の苦労は?」「どうやって安全なもの作りを実現したのか」とさらに質問。飯島さんは、産直運動が消費者の「安全な野菜を作ってほしい」という声に応えて始まったことや、生産者も土づくりや農薬の危険性について学習を積み重ねたことなどを話しました。

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直売所「味菜畑」を見学。左端は飯島さん

 キムファンさんは、「“生産者が健康に作れないような農産物は、消費者にとっても安全な食べ物ではない”という飯島さんの言葉は、韓国の農民にも、消費者にも伝えたい内容だと思います。韓国では“安全なら輸入食品でもよい”という声が強く、産直運動を通 じた生産者と消費者の信頼関係づくりなど、農民連の運動から私たちが学べることがたくさんあります」と生き生きと語っていました。

(新聞「農民」2009.2.23付)
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2009年2月

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