中国製ギョーザ事件・汚染米・食品偽装
食の安全・消費者の信頼とり戻すには
日本科学者会議
シンポで意見交流
中国製冷凍ギョーザ事件から1年。その後も汚染米、食品偽装など食の安全と消費者の信頼を脅かす事件が相次いでいます。日本科学者会議食糧問題研究委員会は1月31日、東京都文京区でシンポジウム「これでよいのか、日本の食と農―食の安全から生協・行政のあり方を考える」を開き、100人を超える参加者が、食と農業の問題を考え、意見を交流しました。
宮村光重さん(食糧問題研究委員会委員長、日本女子大学名誉教授)は、食の偽装や信頼を裏切る多くの事態が相次いでいることを紹介し、「食品企業の事業存続と収益確保などの動機や原因が、こうした事態を生んでいる」と指摘しました。さらに偽装と不安の原因解明が求められるとともに、安全性の確かな保障になる国産農産物の振興、食料自給率の向上が課題だと述べました。
生協総合研究所研究員の西村一郎さんは、ギョーザ事件の経過に触れ、生協職員の目線が組合員を向いていなかったことや、危機管理の弱さなどの問題とともに、国内生産者育成の取り組みの弱さから地域の振興や農業政策が不十分だったことを振り返りました。
長い間、生協を取材してきたジャーナリストの岩垂弘さんは、ギョーザ事件初期の生協の対応が食料自給率、農業再生問題に踏み込まなかった点に異論を述べ、「生協の巨大化に伴う協同の理念の後退、反貧困問題に対する対応の遅れなどが国民意識とのずれを生じている」と強調しました。
食の安全・監視市民委員会代表の神山美智子さん(弁護士)は、農地、農産物は農水省が担当し、輸入食品、加工食品、冷凍食品は厚生労働省が管轄するなど、各省庁の縦割り行政の弊害や、中立・公正であるべき食品安全委員会がその役割を果たしていないことを批判。消費者に知る権利を保障し、食品安全行政に参加する権利を認めることの必要性を力説しました。
会場からは「農業再生、食料自給率向上のために消費者は何ができるのか」「株式会社が農業に参入すると、どういうことになるのか」などの質問が出され、4人のパネリストや参加者が答えるなど、活発な議論が交わされました。
(新聞「農民」2009.2.16付)
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