食糧の買い占め・投機から外国の農地
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広大なアフリカの農地
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(1)砂漠国で、もともと食料自給率が低い中東産油国が囲い込むケース。
(2)食糧輸入を急増させている中国、韓国、日本によるもの。
(3)バイオ燃料用に、ヨーロッパやアメリカ、日本、韓国、中国が、東南アジアやアフリカで、油ヤシやジェトロファ(南洋アブラギリ)、サトウキビ、トウモロコシをプランテーションで生産するパターン。
(4)そして、もともとアメリカのアグリビジネスが展開してきたやり方、つまり「投資」の形をとって、バナナ、パイナップルなどの果物プランテーションを経営したり、大豆の生産・加工・貿易を支配するやり方です。
このうち、最近目立つのは東アジアと中東産油国であり、「グレイン」などの調べで面積が明らかなものだけで、日本の農地面積の1・6倍にあたる760万ヘクタールを超えています(表1)。
「グレイン」のリポートは「中国国内の農地と水供給の喪失は深刻であり、『海外に進出するほか、中国に道はない』と中国の農業科学者が指摘している」といいます。
実際に中国はフィリピンに124万ヘクタールの農地を確保したのをはじめ、表1のように209万ヘクタールの農地を確保しています。
さらに南アフリカのNGOによれば、モザンビークやジンバブエなどにも“アグレッシブ”(攻勢的)に拡大しています。
マダガスカルは飢餓人口が660万人で全人口に占める比率は37%。飢餓で苦しむサハラ以南アフリカの平均飢餓人口比率30%を大幅に上回っています。
英国紙「フィナンシャル・タイムズ」(08年11月20日)によると、「大宇」は土地を無償で借り、“賃借”期間は99年間と半永久的。「大宇」は見返りに道路、かんがい、穀物貯蔵施設に投資するといいますが、「フィナンシャル・タイムズ」社説は、「明らかに新植民地主義的に見える」と批判しています。
表2のように、囲い込まれつつある面積は、飢餓に苦しむアフリカで237万ヘクタール、アジアで474万ヘクタールにのぼっており、現在判明している総面積の94%にあたります。
飢餓人口比率26%と東南アジア最高のカンボジアは、中東諸国やアジアと「広大な農地の貸与と引き換えに農業投資を受け入れる交渉を進めている」といいます。
さらに、2人に1人が飢えているエチオピアの首相は、中東諸国の投資と引き換えに数十万ヘクタールの農地を提供することに「きわめて前向きだ」と語ったといい、紛争が深刻なスーダンでは、CIAと関係が深いアメリカの投資家が40万ヘクタールを確保し、バイオ燃料を生産するという調子です。
たとえば三井物産は、ブラジルで20万ヘクタールの農場経営に乗り出しました。大豆の栽培面積は2・7万ヘクタールで、日本全体の大豆栽培面積14万ヘクタールの2割に相当します。
また、バイオ燃料生産をねらい、すべての総合商社がインドネシア、タイ、ブラジルに急ピッチで進出しています。
問題はいくつもあります。(1)飢餓解消にまったく逆行する、(2)飢餓の根源である輸出型農業に拍車をかける、(3)アジアやアフリカ、ラテンアメリカの農民にとって最も切実な課題である農地改革を妨害する、(4)農薬汚染や遺伝子組み換えによって、環境や生物多様性を破壊する工業的農業が促進される、(5)農民の追い出しや「容認できない農業労働条件の強要」(FAO)によって貧困がさらに深刻になる――などです。
「グレイン」報告は、こういう囲い込みと農業投資が「2国間投資協定やFTAを通して助長され、今後の問題解決をより困難にすることを絶対に忘れてはならない」と結んでいます。
*さらに詳しく知りたい方は雑誌『農民』No.59をお読みください。「グレイン」報告(英文)は次のアドレスにアクセスしてください。http://www.grain.org/briefings/?id=212
[2009年2月]
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