「農民」記事データベース20090209-863-02

森と米守ることは地球環境守る第一歩

「農の会」が定例研究会 講演と実践報告


画像 農民連に団体加盟する「農の会」が、1月24、25の両日、定例研究会を開きました。

 第一部は、「日本の米」カレンダー制作者で評論家の富山和子さんが「水と緑の國(くに)日本〜地球環境問題と日本農業の役割」と題して講演しました。

 富山さんは「日本の国土は、林業と農業でつくってきた。人びとの労働の産物であるという視点が重要」と強調。

 「縄文時代にまでさかのぼれるほどの長期間、森林管理が可能となったのは、日本が“米の文化”の国だから」と述べ、低湿地をかんがいして水田にし、農民が水を利用し続けてきたからこそ山林も手入れがされ、流域全体の土壌が守られてきたことを紹介。「日本の山は米が守った」と述べました。

 その上で「地球環境問題も、いかに土壌を守るかに行き着く。土壌の守り手である林業と農業にかかわる人びとの暮らしを守ることが重要。自国の食糧は自国で作ることが、地球環境を守る第一歩になる」と訴えました。

 第二部では、「有機の意味を考える」というテーマで、各地から実践報告がされました。

 東京農工大学名誉教授で「農の会」会長の柳下登さんは、「大切なのは、有機栽培の方が良いか、慣行栽培が良いかということではない。効率一辺倒ではなく、一人ひとりの農民が自らの田畑と作物をよく観察し、植物の目線にたって、必要なもの選んでいくことが大切だ」と述べるとともに、ピーマンと唐辛子を接ぎ木して育種した新品種「ピートン」の栽培を報告しました。

 静岡県富士宮市の内田達也さんは、50人近くが共同生活を送りながら、自給自足を基本に有機農業に取り組んでいる「木の花ファミリー」の取り組みを報告。雑木林の木の葉や微生物を使ったたい肥・ボカシの利用などを紹介し、「有機とは、分断された物質循環をつなぐのりのようなもの」と述べました。

 長野県の石綿薫さんは、「観察から組み立てた作付体系の一例」というテーマで、スイートコーンとハクサイを輪作した経験を報告。前作の残さを次の作物に活用しつつ、安定した収量が維持できる輪作栽培を紹介しました。


農民連第18回大会での来賓のあいさつ(大要)を紹介します。

世界でも日本でもいよいよ輝きを増す農民連

日本共産党 志位和夫委員長のあいさつ

画像 私が、長年、農民連のみなさんとともにたたかうなかで実感していますのは、日本農業のたいへんな苦境のなかでも、農民連のみなさんがいつも明るく元気なことです。

 「年越し派遣村」でも元気いっぱいのみなさんの活動が、職を失った多くの仲間をどれだけ励ましたかわかりません。危機に際しては、食料を生産していることがどんなに大切かということが痛いほどわかります。

 私は、農民連のみなさんが20年前の結成時に勇気をもって掲げた旗が、どれも今日の情勢のもとで輝きを増しているということをいいたいと思います。

 一つは、「安全・安心の食料は日本の大地から」という旗です。農民連のみなさんが一貫して歯止めない輸入自由化ストップのたたかいの先頭にたってこられた。

 歯止めない輸入自由化ストップ、「食料主権」にたった国境措置の維持・強化を――この農民連の主張が、世界でも日本でも当たり前の流れになりつつあります。

 いま一つは、「国の産業政策のなかで、農業を基幹的な生産部門として位置づけ、自主的発展をはかる」という旗です。

 農業再生こそ地域経済再生の要であり、日本経済再建の土台です。そのためには農産物の価格保障・所得補償によって、安心して再生産ができる農業にしていくことがどうしても必要です。

 農民連のみなさんが20年来掲げてきた旗は、世界でも、日本でも、いよいよ輝きを増しています。日本共産党は、みなさんの運動に固く連帯してたたかうとともに、来るべき総選挙で必ず躍進を果たし、日本農業再生にむけた政治の責任を果たしていく決意です。


安心でおいしい農民連の米の販売お手伝いして…

日本米穀小売商業組合連合会 長谷部喜通理事長のあいさつ

画像 私が農民連とお付き合いを始めてから、ちょうど10年になります。みなさんのお顔をみておりますと、不況、不況と言われるなかで、大変いいお顔をしている。農民連のみなさんから、泣き言を言われたのを聞いたことがない。大変前向きの方たちばかりです。

 みなさんは、安心でおいしい米を作る人たちだということで、この10年間、農民連の米の販売をお手伝いさせていただいております。

 先ほどから米の話がでていますが、40%の水田が不耕地になっているとか、毎年77万トンのミニマムアクセス米が輸入されているということを、国民の大半が知りません。

 今年に入って、減反政策ではなくて、水田をフル活用して大豆、小麦、米粉用・飼料用の米に補助金を出すという話が出ています。これまで世界の食糧事情に相反した日本の農政でしたが、一部転換されるのは大変いいことだと思います。

 ここにお集まりのみなさんの結集した力、意見が徐々に反映され、運動が実っているのではないかと思います。

 ただ、事故米の問題にみられるように、えさ米とか、米粉用の米とか、政府の助成をもらって作った米が、主食用に流れることがあってはなりません。そういうことがないように対策をとることが米価の安定のために必要ではないかと思います。

 私たちは米を販売する商人です。安心・安全なおいしい米を、消費者に届けたい。生産者、販売業者、消費者がお互い信頼関係を構築し、すべての安心につながるように心がけていきたい。

 20周年を機に農民連のますますのご発展を祈念して、私のあいさつといたします。

(新聞「農民」2009.2.9付)
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2009年2月

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