本の紹介
農民連参与・山本博史ほか著
いま、日本の米に何が起きているのか
政府の米政策の異常さや汚染米
流通の背景をわかりやすく解説
このブックレットは、汚染米事件などで疑問や不信が広がっている米の生産・流通
について、農民連参与の山本博史氏らが、わかりやすく語った一冊です。
冒頭の山本氏の論文「データから見る日本の米、世界の米」は、カラー図表を豊富に使って世界の米生産と貿易の動向を概括。需給のひっ迫が見込まれるもとで、国内では減反を強制しながら輸入を拡大させている日本の米政策の異常さを問います。また、規制緩和による流通「自由化」が、汚染米流通の背景にあることも明らかにしています。
続く牧下圭貴氏(NPO法人「農と食の環境フォーラム」代表)の「米の複雑な旅路―区分、流通、表示から考える」では、複雑な流通の仕組みや硬直した格付け検査が、かえって米の生産をゆがめ、安全をも損ねていることが、簡潔に解説されています。
後段では、舘野廣幸氏(NPO法人「日本有機農業研究会」理事)が「有機稲作という新たな可能性」について、渡邉吉樹氏(合名会社「渡辺酒造店」代表社員)が「酒蔵が米を作る理由」について、阿部淳也氏(和菓子製造「芽吹き屋」会長)が「和菓子と米消費拡大の夢」についてそれぞれ語り、現場から日本の米生産・流通の問題点を指摘します。大規模化・画一化路線の対極に、地域の自然と生活に根ざした豊かな食文化をはぐくむ道があることを示唆しています。
用語解説もあって、学習用にぴったりのブックレットです。
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▼A5判 72ページ 本体価格600円
▼岩波書店 TEL 03(5210)4111
(新聞「農民」2009.2.2付)
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