農民連結成20周年記念

詩の入選作品発表

つづき

詩の部

佳作1席　林　東一さん（群馬県沼田市）

大地よ 大地よ！ お前と出合ったのは 今から60年前だ 20歳！ 決意の農業後継者として 「ザクリ」と鍬を打ち込んだ その時からだ 父と共に励んだ三十年！ 3Ｋのみが 私の心を占領していた 大地よ お前の魅力など つゆ知らなかった だが…しかし 今はちがう 経営主になると 私の心が目覚めて 大地のすばらしい お前の顔が見えて来た 冬眠を終え 呼吸さえなしと思える大地 春先！ 馬鈴薯を植えたら 大きく息づいた お前の鼓動を聞いたよ 大地よ！ 農業の魅力は 今！ 私の心の内をはばたいている お前とスクラム組んで すばらしいドラマを築こうよ

佳作2席　山口章光さん（兵庫県あわじ市）

手搾り果汁賛歌 ガチャガチャと、機械しぼりの冷たいひびき マシンの吐き出すしぼりカス 「濃縮還元100パー」の 舌をかみそなその言葉 それに引き換え母ちゃんが 腕をまくってグイグイと 手しぼりジュースのその味は 家族思いの暖かさ 純生しぼりの本まもの

〈選者〉 　詩人会議事務局長 　　　鈴木　太郎さん （選評）佳作2篇は、生活体験をふまえた実感のこもる作品であった。 　林さんの作品は、60年前に出合った「大地」への愛情と魅力をうたったもの。80歳にして「すばらしいドラマを築こうよ」と元気そのものだ。 　山口さんの作品は、タイトルのとおり「母ちゃん」がしぼったジュースへの賛歌。気持ちのよいまとまりをみせている。