農民連結成20周年記念
写真・俳句・短歌入選作品発表
農民連の結成20周年を記念して、「写真・詩・俳句・短歌コンクール」を呼びかけ、作品を募集したところ、たくさんの会員・新聞読者の方々から応募いただきました。ありがとうございました。
編集部では、それぞれの部門で専門の方に助言をいただき審査を行いました。選者の講評をまじえて優秀な作品を紹介します。
写真の部
入選(1)
群馬県渋川市の廣橋昇一さんの作品「赤城山麓の秋、こんにゃく掘り」
|
「赤城山麓の秋、こんにゃく掘り」
群馬県渋川市 廣橋昇一さん
|
畑と空のバランス、人物の位置など構図がきまっています。手前にコンニャクいもがころがり、かごのなにげない並び、そして遠くで作業している人もみられ、中央の人物が浮き立っています。そして、その笑顔が明日への活力、農業のすばらしさを感じさせています。 |
入選(2)
埼玉県本庄市の山田昇さんの作品「繭の袋づめ」
|
繭の袋づめ 埼玉
県本庄市 山田昇さん
|
夫婦の絆(きずな)が出ています。お父さんが口で袋を支えピタッときまっています。お母さんは被写
体ぶれしていますが動きを感じさせ、おもしろい構図に仕上がっています。手前に繭があり背景が暗く、2人が浮き立っていて人物の位
置もいい。 |
俳句の部
春耕や筑波赤城を従えて |
入選1席 長沼貞代さん(埼玉
県大利根町)
|
(選評)いよいよ春の農作業が始まる。作者の住む関東平野から一望できる筑波山と赤城山の大景を捉えて詠んでいる。この句の「従えて」がとても力強く、農びとの意気込みを感じさせ、広がる抒情がとてもいい。 |
新米を息子に持たす親の自我(えご) |
入選2席 豊田由美子さん(静岡県浜松市)
|
(選評)郷里を離れて生活している息子さんに持たせる自慢の新米であろう。その美味しさは息子も承知しているが、持ち帰りは重い。「このくらい持てるじゃないの」、そんな親子の会話も感じる。「親の自我(えご)」がなんとも温かい。 |
短歌の部
春まつり減反の田見下ろして幟り旗には五穀豊穣 |
入選1席 川上睦美さん(福岡県行橋市)
|
(選評)昔から「五穀豊穣」の願いは、農民の春祭りの原点でもある。しかし、現実は減反政策による休耕田が広がり、この景のなかにクローズアップさせている。しっかり捉えた表現となった。 |
鈴なりの柿それぞれに綿帽子長き越後の冬始まりぬ |
入選2席 二瓶 環さん(新潟県阿賀野市)
|
(選評)柿の熟れた里は、農村を象徴する美しさがある。雪を被った綿帽子が可愛いく美しいのだが、それが放置されたままという景に変わっているようだ。厳しく長い「冬始まりぬ
」であり、よく生活感を潜めさせている。 |
[写真の部]の選者は、「農を撮る」写真家の高橋淳子さん
[俳句・短歌の部]の選者は、本紙「農のこころ」担当の丸山美沙夫さん |
「詩」の入選作品は次号(1月19日付)に掲載する予定です。 |
(新聞「農民」2009.1.5・12付)
|