「農民」記事データベース20081208-856-08

霞ケ浦導水事業と那珂川のアユ保護

“渋谷でアユ釣る”学習会

島根・中海干拓事業中止の経験も報告


 21世紀水産の会

 21世紀の水産を考える会は11月22日、「渋谷でアユを釣る―霞ケ浦導水事業が那珂川の生態系に与える影響」と題して、東京・渋谷区内で学習会を開きました。茨城県水産試験場の二平章さん(日本科学者会議会員)が「霞ケ浦導水事業と那珂川産天然アユの保護―団結する茨城・栃木7漁協と自治体決議」について、また山陰放送(島根県)の記者、谷田人司さんが「宍道湖事業の停止とその後」について、それぞれ報告しました。

 二平さんは、「那珂川は日本一のアユの産地。霞ケ浦から送水されたらアユが壊滅する」と述べ、「漁協をないがしろにするな、環境を悪くするな、漁業権を侵すな」と地元の漁協が反対してきたにもかかわらず、国土交通省が巨額の税金を投じて導水事業を進めてきた経過を報告し、「生態系への影響調査に関するデータがないからという理由で実物大の模型実験用として取水口を建設しようというのは、まったく無責任だ」と指摘。全国内水面漁連の全国大会でも「建設中止」の決議がなされたことを紹介し、「反対の動きは全国に広まっている」と述べました。

 また谷田さんは、中海干拓事業を市民の世論で「中止」に追い込み、ついに堤防を掘削し潮通しができるようになった経過を報告し、「いったん閉じられた堤防を崩して、またもとの環境に戻そうという取り組みは画期的なこと」と述べました。

 会場からは「自然を壊しまた元に戻すには、大変な労力と費用がかかる。こんなバカなことをしないためにも、霞ケ浦導水事業を中止させなければならない」などの意見が出され、参加者は「建設差し止めを求める署名」に応じていました。

(新聞「農民」2008.12.8付)
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2008年12月

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