「農民」記事データベース20081201-855-06

本の紹介

田中秀樹著
地域づくりと協同組合運動


食生活と農業を結びつける協同の実践を提起

画像 協同組合運動の研究家である著者(広島大学大学院教授)が、「食と農」という視座から、近年発表した論文を集めた大部の1冊です。

 市場経済の際限のない拡大は、地域における人々の協同的な関係をバラバラにし、さまざまな「生きにくさ」を生んでいます。しかし本来、この流れに対抗して住民の協同を作り出すはずの生協や農協も、市場競争の中で事業が巨大化し、住民の手から遠ざかっていく協同組合の「会社化」という状況が生まれています。

 著者は、市場原理主義の矛盾があらわになっている今日こそ、協同組合の再生と、それを通じた協同社会の形成が重要であると説きます。そして、その基礎として、地域の自然と農業、住民の食生活や家事労働に注目し、これらを結びつける新たな協同の実践を提起します。

 生協についての考察に重きが置かれていますが、産直や直売市などの運動に新鮮な視点を提供してくれます。

▼四六判 480ページ 本体価格7500円
▼大月書店刊 03(3813)4651

(新聞「農民」2008.12.1付)
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2008年12月

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